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短編
たき火

「いやー、あったまるねえ」
そんなのんきなことを隣のやつは言う。

なぜこいつはこんなにおちついてられるのだろう。
俺はもちろん、そんな余裕はない。

わかってんのかな、おれたち遭難しちゃってるんだぜ

ーこれからどうなっちゃうんだろ…??
半泣きのおれに、うわー、とドン引きするこいつ。

どっちが正常だと思う!!??




 隣の奴はかなりのビビり、らしい。
俺たちは猛吹雪のため、この小屋から身動きできない。
しかし、そんなやばい状況でもない。

今、暖を取るために燃えている薪以外にも、この小屋にはたくさんの薪たくさんある。
食料も、心配性らしい隣の奴がある程度持っていた。
俺だってお菓子を持っている。

俺たちはスキーツアーの参加者だから、泊まるはずだった宿舎で、ツアーガイドが俺たちがいないことにすぐ気付くだろう。

この小屋は、そこからそれほど離れたところにあるわけではない。
吹雪がやめばすぐ発見され、遅くても明日には無事、助けが来るだろう。


…それなのに、隣の奴は半泣き状態だ。
無駄なエネルギー消費に、逆に心配になってくる。

遭難したわけでもあるまいに……。



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あきゅろす。
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