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短編
いつもの日常


「ったく」
いつものようにこいつはのんきに寝息を立てている。
そんな暇、無いんじゃないか…?

俺は山口、寝ているこいつは森井。
俺たちの通っている高校は芸術系のちょっと特殊な高校で、俺は音楽、こいつは美術を学んでいる。

「おい、起きろ森井。寝てる暇、ないだろ!」
そう、寝てる暇なんかない。

俺は発表のためにピアノの課題曲を練習しないといけないし、こいつもたしか、もうすぐ作品を提出しないといけないはずだ。


 こいつは作品制作に詰まるとすぐ俺の練習を聞きに来る。
いや、本当に聞いているかは謎なところだ。

森井はいつもこの部屋に入ってくるなり、持ってきたスケッチブックにらくがきして遊んでる。
もしくは、寝ているからだ。

まあ、結局、息抜きが一番の目的なんだろう。

「ん、」
森井は身じろぎし、だるそうに目を開ける
「あれ、終わったの?」

「聞いてないだろ、お前」

「いやー?」
とばつが悪そうな顔をしながら一応否定する森井に
俺はウソつけ、とつい笑ってしまう。


 こいつのことだから、作品提出もどうせ期限の次の日ぐらいになってしまうのだろう。

やらかしたーー!!と泣きそうな顔のこいつが簡単に想像できてしまって、俺は苦笑いした。

「はやく戻って作品やれよー」

そんなマイペースなこいつのこと、やっぱり俺は大好きだと思ってしまう。

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