6 えっと、確か体育館への看板を見て曲がって…あれ、そのとき間違えたのか?第二だっけあれ。 今俺の周りには緑が広がっている。なぜ学園に森があるんだ。そんなに大きくはない、とは思うけど。 腕時計を見るともう9時15分。 走った意味…ない……。 森といっても小さな道があり、多少早足で進む。 途中で引き返すことを考えないから俺はいつも迷うんだろうか、なんて考えながら歩いていた。 ふと前が開けたから見渡すと、小さなスペースがあった。隅にベンチが1つぽつんと佇んでいる。 俺が足を止めたのは、そのベンチの上で寝ていた人の髪に目を奪われたから。 着崩さずピシッと着られた制服に、背中にまで届くだろう散らばった銀髪。 思わず銀糸に手を伸ばすと、―――瞬間、腕を掴まれる。 [*前へ][次へ#] [戻る] |