12
side-涼
「うわー単純バカが張り切ってる」
隣で冷めた目をした怜が、相手を殴り倒している迅を見て呟く。
「あの3人、迅の知り合いだったか」
「うん、そう言ってたよ」
眼前に繰り広げられる一方的な暴力。…正直、こういうのは苦手だ。
血、とか。
いつもと雰囲気の違う仲間とか。
「ミオはもうスイッチ入っちゃってるね」
怜が黒ずくめのミオを見て微笑む。
俺は笑えない。
何も映さない暗い目をして、殺気を放っているミオを見ると。
胸に何かが刺さるように、
痛くて。
「涼」
その痛みを感じるたび、
俺にはミオの闇を受け止めてあげられないんだと、
「涼」
「っ、……なに?」
「心配すんな」
大丈夫だ、と李雨が力強く笑う。
でも。
だけど。
この人なら、と思えるから。
「李雨、涼、ミオ、出番だよ」
怜の声。
「李雨は金髪、涼はオレンジ頭、ミオは銀髪」
目を向こう側の3人に向ける。
「じゃ、行ってらっしゃい」
待ちきれないとばかりに、ミオは銀髪に向けて駆け出した。
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