[携帯モード] [URL送信]
11
その言葉にいきり立った下っ端が一斉にJOKERのもとへ向かう。

品がない…いや、ただの暴力に品も何もないか、と溜め息を吐きたくなりながらも、まずは小手調べ、とそれを止めずに観察。


…ただの雑魚じゃ、ないみたいだね。


向かった30人程に対し動きがあったのは、4人。
その中でも群青色の髪をした長身の男が、口端を上げ余裕綽々といった様子で暴れまわっている。
他の3人は、まあそこそこと言ったところか。


それにしても、さっきの言葉が本当なら、気まぐれな各チームとの衝突の目的は『ただ喧嘩したいから』ということになる。単純すぎるその目的の矛盾点。そう言った言葉に、好戦的な闘志を感じない。それはあの頭だけでなく、チーム全体から。

…あの、フードを深く被った黒ずくめを除いて。



つまり?
それらが意味することは。


――『ケンカしに来た』のは、あの黒ずくめってこと…?


「やっぱり『黒狼』、かなあ?あれ」
「…コクロウ?」

徹の独り言のような言葉に反応すると、『あれ、知らなかった?』という顔をされる。

「ウワサでは、黒狼は全身真っ黒で〜、黒狼に闘う気が無くなると、JOKERは引き上げちゃうんだってさ」

わけわかんないよね、との言葉に返事をせず、考える。
その噂が本当だとしたら、先程の自分の考えは合っているのか。


「…………。」


分からない。
不愉快だ。
ならば?

――知ればいい。



「――さぁて、」

僕を一瞥した龍貴が呟く。

30人いた下っ端は、一人残らず地に伏せている。

「小手調べは終わりだ」

龍貴は子どものように楽しそうな顔で、笑った。


[*前へ][次へ#]

11/38ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!