11 その返事に満足して再び窓の外に目を向ける。 「…まだ着かないのか」 「多分もうすぐだと思うよ」 何するんだろうねえ、と沙音が呟く。生徒会主催のその内容は、三泊四日ということ以外知らされていない。 それでいいのかよ。と思うけど、他に疑問を抱く者はいないようだ。 せっかくだからみよ先輩に聞いとけば良かったかな。でも仕事三昧で聞く暇なかったか、と考えたところで“アレ”を思い出した。 「……あああーもう!!」 突然頭を抱えて大声を出す俺に、横で沙音の戸惑う気配がした。 けど、そんなことに構ってる余裕はない。 認めねーよ俺のファーストが、男だなんて!! **** 会場に着いたのは16時頃だった。とりあえずは各自振り分けられた自室で待機。一時間後大ホールに集合だそうだ。 「あー…」 意味のない声を上げながらボスッとベッドに倒れる。このまま寝そう… 「澪寝るのー?」 隣のベッドに座る沙音が荷物を取り出しながら声をかける。 「…ん〜…」 「まだ酔ってるなら寝ちゃえば?一時間経ったら起こすよ」 「…ああ、そうする。ありがとう」 言いながらモゾモゾと布団に潜る。ああ、柔らかい… すぐに寝息をたて始めた俺をじっと見て、 「…無防備すぎ。ここまで信用されてるのもな…」 沙音の顔は陰り、ため息は重い。 「この外見を、今ほど疎ましいと思ったことはないよ。 …ああ、あの時以来かなあ」 理由は正反対だけど。 「やっぱちゃんと攻めないと、意識してくれないか。ネコになるつもりもないしね。 …覚悟してね、澪」 ふふ、と妖艶に微笑んで。 そうしてあっさりとセカンドも男に奪われたことなんて、俺は知る由もなかった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |