[携帯モード] [URL送信]

「わかり、…わかった、から放せ」
「それでいんだよ」
くくっ、と笑う声がむかつく。なんだこいつ…
「って放せってば!」
「は、誰が放すって言ったよ」
「っ!」
「座れ」
なにこの俺様!傍若無人!庶民の敵!調子乗んな仏の顔も三度までだ!
「全部声に出てんだけど」
「!!」
「誰が仏なんだよ」
慌てて口を押さえる。
ああもう、どうでもよくなってきた。
乱暴に会長の隣に腰を下ろすが隣からの反応はない。怪訝に思って顔を覗くと会長は目を瞑っていた。
「……会長?」
「…なんだ」
「疲れてる?」
そう言うと驚いたように俺を見る。
「なぜ」
「疲れてるような顔してるから」
それが何、と聞くとなんだか妙な顔をする。
「……ああ、交流会の準備とか色々な」
「あー。…意外にちゃんと仕事してるんだ」
「お前は俺を何だと思ってるんだ」
「バ会長。いてッ」
「あ?今なんか言ったかこの生意気な口が」
理不尽だ!
恨みがましく睨み付ける俺に口端を上げる会長。
うっぜ。

「…もう帰る。手、放して」
「龍貴」
「は?」
今度は何言い出すんだこいつ。
「龍貴、て呼んだら帰してやる」
「…龍貴って誰」
「お前…生徒会長の名前くらい覚えとけ」
お前かよ。
「………りゅーき。放せ」
「ははっ可愛くねー」
可愛くてたまるか!
しょうがねえな、という言葉とともに腕の拘束がなくなる。あんな強い力だったのに痣の一つも無いのが不思議だ。

「じゃ。」
「ああ」
って寝るのかよ。
「…風邪引くぞ」
「っは、余計なお世話だ」
まあそりゃそうだが。

釈然としないまま、ひらひら、と振られる手を後目に寮へと急いだ。



[*前へ][次へ#]

7/34ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!