【HQ】 lilac 【黒バス】
2
「あー、ゆづちゃん、なに聞いてんの?」
岩泉くんの用は終わったらしい。教室に戻ってくるなり、私の隣に座って、イヤホンを片方とられる。
「あ、これ良いよね。俺も好き。」
好き、と曲に向けられた言葉なのに、不意にどきどきしてしまって。
「…及川。」
「ん?って…、なんで泣いてるの?」
及川を振り向かせたくて
その気持ちが、こぼれた。
長い指が涙を拭う。
「ごめ…ん、迷惑、だよね。及川、私のことなにも、特別に思ってないのに」
自分で言って、さらに悲しくなって。
しゃくりあげる私の背中をとんとん、っと叩いて微笑む。
「ゆづ。」
「な…んでよび、すてっ」
「及川さんゆづのこと、特別に思ってるんだけど。伝わらないの?」
呼び捨てなんて君だけだよと、かるく頭を撫でて。
「だから、ゆづのこと、好きなんだよ?
付き合ってください。」
そういう及川の耳も真っ赤に染まっていたことに気づいた。
うん、いまの言葉たちはきっと、気紛れなんかじゃない。
______fin______
タイトル 「確かに恋だった」
様から。
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