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小説(パロ)
act.4
「で…何お願いしたわけ?」

カーテンが開けられ、明るくなった部屋の中、窓を背にした白ヤギさんが、黒ヤギさんに訊ねました。

「は?願い事?……んなの言ったら、叶わなくなるだろうがっ」

まさかそんなことを訊ねられるとは思わず、黒ヤギさんは口ごもってしまいました。

「そういうもんか?」

そこまでは知らなかったと言うように、首を傾げる白ヤギさん。

「そういうもんだっ」

声を荒げながら、黒ヤギさんは思いました。

(そんなの言えるわけねぇだろ…)

ケーキを目の前にして、驚くばかりだったので、黒ヤギさんは願い事のことなど頭になかったのです。
けれど、白ヤギさんに願い事をと言われ、とっさに頭に浮かんだ台詞を心の中で呟きました。

『これからも銀時と一緒にいられますように』

それは、無意識だったとは言え、口に出すのは躊躇われました。

(銀時と一緒にいてぇって気持ちは嘘じゃねぇ。けど、今の俺の中途半端な気持ちじゃ、余計な期待を持たせるだけだ)

黒ヤギさんは困惑していました。確実に、そして着実に白ヤギさんは、黒ヤギさんの心の中に入り込んで来ているからです。
けれどそれが『好き』ということかと問われると、黒ヤギさんの頭の中は、途端に霧が立ち込めたようになるのでした。

(人を好きになるって…難しいんだな)

黒ヤギさんは、誰かをストレートに好きだと言える白ヤギさんが羨ましくなりました。
そしてそれと同時に、白ヤギさんの好きな相手が自分だと改めて思い、何だか顔が熱くなっていくのを感じるのでした。


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