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小説(パロ)
act.2
「目つぶって入ってくんない?」

黒ヤギさんはその日、いそいそと準備をして出掛けると、白ヤギさんの家にやって来ていました。

「何だよ、やたら仰々しいな」

白ヤギさんに目を閉じるよう言われて、黒ヤギさんは渋々目を閉じました。一体何が待ち受けているのかと思いながら、白ヤギさんに手を引かれ歩きます。
白ヤギさんの手の暖かさに、黒ヤギさんはドキドキと胸を高鳴らせました。指先から、胸の鼓動が伝わってしまいそうです。

「ぎっ、銀時まだなのか?」

「ん〜…もうちょっと」

きっと時間にしたら、ほんのすこしのことだったでしょう。けれどそれが、とても長く感じられ、黒ヤギさんは落ち着かない気分になりました。

(マヌケ面してねぇかな…)

黒ヤギさんは無意識に目をぎゅっと閉じ、少し俯きながら歩きました。目を閉じている顔を見られているのではないかと思い、急に恥ずかしくなったのです。
視界を塞がれていると、色んなことが気になり、逃げ出したい気分になりました。一歩踏み出すたびに、微かに音を立てるギィという床の音さえ、やけに耳につきます。

「………もういいぜ」

白ヤギさんがそう言うと、手を離しました。ようやく着いたようです。黒ヤギさんの胸がどくんと跳ね上がりました。ゆっくり目を開くと、まず白いものが見えました。


やがて、ぼやけた視界が徐々に焦点を合わせてくると、数回ぱちぱちと瞬きをしたあと、驚いたように黒ヤギさんは目を見張りました。

「これ…お前が?」

次の言葉が出ずに、固まる黒ヤギさん。

「誕生日おめでと、十四郎」



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