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よみもの~中等部編
6 ~yuka

ついにバレンタインデー当日
私は朝から気合満点
まあ、去年も一昨年も、だったけどね

駅から学校に行く途中でカノンにであった

「カノン、おはよっ」

カノンの膝はまだ完全には回復していないし、がっちりしたサポーターが目をひく
だけど、大分しっかりしてきたな、って思う
もう杖が無くても歩けるらしいけど、用心のため、なんだって

「おはよ、ユカちゃん...あれ、今日、桃城君は?」

「なんか朝練に参加してるみたいよ?
 どうせ、チョコ回収が目的じゃないの?」

「去年の不二先輩達みたいだね?」

にへにへ〜、っと、笑うカノンに、私は、ま、そんなトコでしょ、と、軽く返した


学校につくと、もう朝っぱらから、あっちこっちでバレンタインのイベントが発生してる

そして。。。例に漏れず。。。

「カノンちゃん、由香先輩、おはようございます!」

ハズエ君は遠巻きに眺めるオンナノコ達を完全無視で、天使の笑顔を浮かべて駆け寄ってくる
まったくハズエ君、キミはディザスター
こうなると、にぃちゃんよりも、やっかいだ

でもカワイイからゆるす

「はずえクンおはようございます」
「ハイ!」

カノンは、にこ、って笑って、肩からバッグを降ろすと。。。
あらぁ。。。ハズエ君のおめめがキラキラしてるわ

「僕、こっちのバッグ持ってますから、ね?」

おいおい、待ちきれないのはわかるけどさ
もう、ぴょんこぴょんこ、今にも跳ねそうな勢いだよ、このコは

「はい...前にはずえクンおいしいって言ってたチョコあったでしょう?」
「ベルギーのお土産のですか?」
「そう、ちょうどお父さんがブリュッセルに行ったから」
「ありがとうございます」

このカノンに向ける笑顔がね『とろけそう』ってヤツでさ
もう、ほほえましい、とかそんなコトバじゃ言い表せないな、うん
でも、私だって負けてないもんね!

「ハズエく〜ん!私は無視?」

。。。って、誰と何の勝負してんのよ、私はっ

「そんなことないですよ?
 だって、由香先輩は僕にブラウニー焼いてくれたんでしょう?
 すごく楽しみにしてるんですよ?」

ホラ、別に張り合わなくたって、ハズエ君は私にもサイっコーの笑顔で応えてくれる

「そこまで言われると、恐縮しちゃうな〜」

ブラウニーを入れた箱
ハズエ君に似合いそうな、薄緑色のラッピングペーパーに、
シルバーとゴールドの細いリボンを巻いて飾り付け
細かい所にも、ハズエ君はすぐに気付く
そういうトコロがオンナノコウケするんだって、気付いてやってんのかな?
やっぱり海堂にぃちゃんと『対極』

「きれいにラッピングされてますね?
 楽しみだな...休憩まで...待てないなぁ...
 ね、由香先輩、今開けてみてもいいですか?」

「ここで?」

「はい!」

ついその笑顔に『いいよ〜』って言ってしまいそうになるけど。。。

「いやぁ、ソレはマズいんじゃないの?」

「どうしてですか?」

ほら、と、周りを見るように促す

「ハズエ君ファンのオンナノコ達、みんなキミにチョコ渡そうとしてるんだけどな?」

「ふぅん」

「そういうことだから、青学VIP海堂葉末君、しっかりおつとめしてきなさい」

「はぁい」

ちょっと困ったような顔をむけられると、ホントに何でも許しちゃいそうになるよっ!!

「そういえば、お兄さんは?」

ちら、とカノンの顔を見ると笑ってる
にへ〜って顔じゃなくて、海堂君を考えてるときだけにみせるあの表情

「あぁ、部室前でもみくちゃになってましたよ、桃城先輩と一緒に」

ハズエ君は私のケーキとカノンのチョコから目をはなさずに呆れたように笑う

「やっぱりね」

今度はカノンの顔をダイレクトにみてみると、はは、って苦笑してるし
まあね、私も同じ、だけど

「やっぱり、って?」
「毎年こうだ、ってことよ」

ハズエ君は一瞬だけきょとん、とするけど、すぐに上目遣いになってくすくすと笑う

「そうなんですか?」

「そう!あ、ほらぁ、オンナノコ達みんな困ってるじゃない
 私達は行くから、はい!しっかりおつとめ、がんばってね」

ハズエ君は、うんざり、という顔になる
あーーー、やっぱり兄弟
そーいう顔は、海堂にぃちゃんとそっくり

私達がハズエ君からはなれると、遠巻きだったオンナノコ達はハズエ君ににじり寄る
ははは、もみくちゃになってるよ

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