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よみもの~中等部編
5 ~yuka

ざわざわが近づいてくる
まさかもう来ちゃったの!?
お昼休みが始まってすぐ、3年6組コンビ+キモメガネ装備の乾先輩がやってきた
。。。うん、やっぱり、メガネ。。。ない方がいいと思う。。。
それはおいといて。。。

「やあ」
そう言って、真っ先に2年7組に現れたのは不二先輩
教室内だけでなく、他所のクラスの見物人すらいる
もう朝の事がウワサになって広まってるんだ。。。

本当は、お昼休みになったら、すぐにカノンを連れてどっかに隠れてようと思っていた
だって。。。
カノンは朝からずっと、気まずそうで、何にも遠慮がちで、ビクビク怯えてた
だから、もう逃げるしかない!って思ってた
例え、放課後につかまっても、お昼休みにおおっぴらに、かまわれるよりよっぽどまし
だから、お昼はどこか。。。視聴覚教室とか、音楽室に隠れてるつもりだったのに。。。

お弁当バッグの持ち手をギュっと握るカノン
私はそのカノンの震える手をぎゅっと握る、大丈夫、私がいるから!
「カノンちゃん、誰と行くか決めてくれたかにゃっ?
 あ、薫ちゃんは証人だからね、ここにいてよねっ」
席を立ちかけた海堂君に、菊丸先輩が牽制をかけた
「うん...やっぱり本人の意思を尊重しないとね?」
不二先輩、そういうんなら、カノンの意思は『放っておいて欲しい』だと思います

「あのっ!」

お?カレシ君のテンションがもうギリギリって感じ
。。。私も、だけど。。。
「ん?海堂、何?」
それに反して、このキモメガネのくせにエロヴォイスの乾先輩は、やけに落ち着いてる

「俺は認めねぇっ!!!」

う。。。敬語吹き飛んでるよ?海堂君。。。
キモチはわかるけど。。。
「どう言う事かな?」
でも、このエロヴォイス、やっぱりいいわぁ〜〜〜〜
コラ私、自制しろっ

「コイツを貸すとか借りるとか、そういうのは認めねぇ...っス...あの...
 コイツはモノじゃねぇ...だから...
 ...そりゃ、コイツが先輩と一緒に行きたいなら
 俺の許可とか、そういうのはいらねぇっスよ...」

うん、海堂君の言う事はもっともだと思うよ、うんうん
いつもは口数が少ない海堂君、それでも、カノンの為なら、ここまでがんばれるんだ。。。
やっぱすごいよ。。。
海堂君、本当にカノンの事、好きなんだね。。。

「ねえ、奏音ちゃん?
 もしかして、僕達のコト、迷惑なのかな?」

「...いいえ...」
カノンがそこで『ハイ迷惑です』っていえるはずないじゃないっ!
迷惑ってわかってて、やってる様にみえるんですけどっ!!
「あのさ、もしかして」
「不二先輩...やめてください」
我慢の限界だった。。。
「もう、いいでしょう?
 先輩達、自分でもわかってるでしょう?どれだけ女の子に人気があるか
 それこそ、先輩と一緒にいたいってっコは、たくさんいるんです
 そのコ達を誘ったらいいでしょ?
 それなのに、ファンのコ達に見向きもせずに、
 こうやって先輩達がカノンばっかりをかまうから、ヘンな嫉妬を買うんですよっ!
 カノンはいっつも周りの目に怯えてるんです!」
私は無意識に児玉の顔を睨みつけた
児玉が、睨みかえした。。。様に、私には見えた
だから、もっと怒りがわいてきて、叫んでしまった

「知ってるんでしょ!去年の事!!
 どんだけカノンが辛かったのか、わかってるのっ!?」

いままでざわめいていた教室が一瞬のうちに水を打ったように静まり返った
うわ。。。どーしよ。。。言っちゃった。。。それもタメ口で
しーんとする空気に、変に冷静になってしまった
勢いとはいえ、こりゃもう死亡フラグ
コレで私、もう不二先輩と一生おハナシできなくなったな
それならまだしも『不二先輩を怒鳴りつけた女』として、呪われるかも。。。
うん、終わった

「...あの...」
カノンがちいさくつぶやいた
「うん、誰と行くか決めてくれた?」
「やはり、先着順、ということで、俺でいいかな?」
「あの...」
さらに小さい声
カノンのキモチはわかる
ここで、はい、といっても、いいえ、といっても
注目を浴びる
。。。もちろん、悪いイミで。。。
はい、といえば、いい気になってる、とカゲでいわれ
いいえ、といえば、生意気だと、また反感を買う
結局。。。カノンに逃げ道はない

「乾っ、ちょっと待って!
 俺だって、カノンちゃん連れて行きたいもんねっ!!
 勝手に決めないでくれるぅ?」
「いや、英二...悪いが、俺の方が先に申し込んだんだ
 だから、俺が」
乾先輩の言葉の途中で、海堂君はいきなり立ち上がった。。。
怖い、すっごく怖い。。。
「待ってください、俺は、嫌っスよ」
うはっ!ヤキモチ発言キターーーーーーーーーーーっ!
すんごく、不機嫌丸出しの超低音で、ぼそっと発するそのセリフ、
ちょっとグッときちゃうよ〜
「いやいや、海堂、別にとって食おうとか、何かしようというわけじゃないし」
「何かされてたまるかっ!!」
ぎゃあっ!!爆弾発言その2っ!!!
破壊力は朝のヤツの1万倍
「だから、それはないってば...海堂、落ち着け」
「そーだよ、薫ちゃん落ち着いて〜〜〜っ」
それでも流石、青学VIP
海堂君の地獄の閻魔様に匹敵する程の黒オーラにすら、ビビらない
それどころか、苦虫噛み潰したような、そんな笑い顔っぽいんですけどぉ
「アンタら、コイツをなんだと思ってんだよっ!」
海堂君、先輩にその口調はちょっとマズいんじゃ。。。
「自分がよけりゃ、コイツの気持ちはどうでもいいってのか!!!!!」
「だから、落ち着けって...」
「うるせぇっ!!
 かのん、来い!コイツらにつきあってやるこたぁねぇっ!!!」
ありゃりゃりゃりゃ。。。
フツーにしてても怖いのに、
本日、先輩相手にブチキレた強面の王子様は、爆弾5発を投下して
いつもはボケ面、でも今だけ限定泣き出しそうな顔のお姫様の腕を引っ張り、
もの凄い勢いで、戦線を離脱した

教室の中も外も、あっちこっちからざわざわ音が立ち上る

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あきゅろす。
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