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よみもの~中等部編
3~canon

海堂君達が更衣室へ向かった後、
目のくりくりしたかわいい女の子が私に話しかけてきた
「私、橘杏っていうの、不動峰2年」
「菊池奏音です、よろしくね」
橘さんは、すらっとしていて、スポーツをする人らしくキビキビと動く
身体にピッタリとしたポロシャツに、ミニスカートにスパッツというカッコウがよく似合う
結構本格的なテニスバックを持ってる所を見ると、彼女もそれなりのレベルなんだろうと想像できた
「カノンちゃん、ね、よろしくっ」
桃城君から渡されたコンビニの袋をどこに置こうかなぁ、と、きょろきょろしてると
「カノンちゃんはテニスしないの?」
さも当たり前のように言われた
「え?うん...私は観るの専門」
「私、予備のラケット持ってるから、やってみない?教えてあげる」
「え...と、あの...」
どういって断ったら角が立たないかな。。。
「悪い、ソイツ、ダメなんだ」
もじもじしていると、着替えをすませた海堂君が後ろから言葉を投げた
橘さんは、丸い目をもっと丸くして、どうして?と訊く
「ごめんね、私、手...手首に負担のかかる事は...ちょっと...」
ますます判らないと言う顔
「ピアノやってて...今、演奏会控えてて...ごめんね」
本当は、演奏会がなくてもやっぱりラケットを握ろうとは思わなかった
そりゃ。。。一緒にテニス、出来たら楽しいだろうな、とは思うけど。。。
思うんだけど。。。
「へぇ〜、そうなんだ」
橘さんは、別に気を悪くした風でも、ましてや呆れた風でもなくアッサリと言う
「桃城君達の友達だから、私てっきり、テニスする人だと思ってたんだけど
 へぇ〜、ピアノの演奏会かぁ、すごいね
 私、小3くらいでやめちゃったから」
本当にアッサリした人なんだな、初対面だけど、感じのいい人だと思った
「うん、そのくらいでやめる人、多いよね?橘さんは...」
「杏でいいよ」
「あ...杏ちゃんは、テニスずっとやってるの?」
「うん、ま、ね」
「カノンちゃん、そいつの兄さん、不動峰の部長なんだぜ?な?橘妹」
桃城君が会話に割り込んで来た
あ、そっか、不動峰。。。全国大会にも出てた。。。
「すごいねぇ...」
コートで打ち合っていた二人も、わらわらと私達のまわりに集まり
杏ちゃんが、神尾君と伊武君を紹介してくれた

くじ引きでダブルスの組を決める
桃城君と神尾君、海堂君と伊武君ペア。。。
いやだぁ、なんかあそこにヘンな妖気を感じるんですけどぉ。。。
なんて、思ってると、
隣で杏ちゃんが、うわぁ。。。と、溜め息まじりの何とも言えない声を漏らした
「どうしたの?」
「だってさぁ、海堂君と伊武君ペア、なんか不気味なオーラでてるぅ」
そのストレートな感想に、ぶっ、と吹き出してしまった
「やだ、私も同じ事考えてたっ」

その後は、試合観戦なんてそっちのけで、ガールズトークに花が咲く
「ね、カノンちゃんと海堂君って、本当の所どうなの?」
「あーーー...」
そうきた。。。かぁ、と苦笑する
「なんだろね?カレシカノジョじゃないと思うよ、ホント
 海堂君の事は好きだけど、なんていうのかなぁ...同士?でもない...か
 その...男の子とか、そんな風に意識した事ないの...
 うぅ〜〜〜ん...よくわかんないや...」
本当によくわからなかった
海堂君は自分にとって特別な存在、だというのは認める、けど、
それが『恋愛感情』なのか、といわれると、
よくわからないし、そんなんじゃない様な気がする...
「あ!わかった」
杏ちゃんが叫ぶ
「へっ?」
「一緒にいて、なんか元気もらえたり、頑張れるってカンジ?」
「あ、うん」
「わかる、よ、私もそうだもん」
えへへへ、と、かわいらしい顔を向けて笑う
「神尾君とか、伊武君...桃城君もそうだよ
 友達だけど、なんかね、特別、っていうのかなぁ...
 普通の友達とはちょっと違うの
 男の子とか、女の子とかそう言うの関係ない
 元気な姿みてると、こっちまで元気もらえるし
 逆に元気がなかったり、落ち込んでたりすると心配になる
 それに、一緒にいてすごく楽なの
 居心地いいっていうか、さ
 なんかこういうの、他の人には判ってもらえないんだけど...」
そういうと杏ちゃんは、ちょっと心配そうな、複雑な顔になる
「...うん...そうだね...私もそんなカンジ、かなぁ
 特別、っていうの、わかる
 学校でも、仲のいい女の子の友達いるし、その子達とも、いろんな事を話せるよ
 でも、海堂君だから...弱音とか、愚痴とか吐けちゃうの
 素直に自分をぶつけても大丈夫っていう安心?みたいなのがね、あるの」
そうやって言葉で探ってみて、あ、そうかぁ。。。と、自分で納得した
海堂君といると、私、ヘンな意地張らないんだ
そっかぁ。。。だから落ち着くんだ。。。
「ははっ」
「なになにぃ?思い出し笑い?」
声に出して笑ってたみたい
杏ちゃんのからかうように笑う表情も、なかなか可愛いな、と同性ながら思ってしまう
「あ、ごめん、なんか私って海堂君にとってどうなんだろう?って思ってね
 自分が貰うばっかりで、私、海堂君には何もしてあげられないから...」
コトバにすると、今度は自分が情けなくなった
そうだ、私。。。海堂君にいっぱい心配かけて、迷惑ばっかりかけてる
「そうかな?」
杏ちゃんはちょっと眉をしかめる
「もしそうなら...
 私、テニスの事だけでしか、海堂君、知らないけど
 カノンちゃんのこと、重たい、っておもってたら
 案外、あっさりと切っちゃうような人なんじゃない?
 カノンちゃん、さぁ...自分で気付いてないだけで
 本当は海堂君に何かしてあげてるのかもしれないよ?」
えへ、と、肩をすくめる
「なーんてね、私も同じだよ
 そう自分に言い聞かせて、納得してるだけ
 所詮他人だもん、本当の事なんてわかんないよね、言わなきゃ、さ」
杏ちゃんとは初めてあったのに、こんなこと話せるなんて
自分でも気付かなかった気持ちまで、言葉にすることができるなんて不思議だなぁ。。。
「海堂君、ってね...
 ああみえるけど、すごくやさしいよ?
 だからつい、甘えたくなっちゃうんだぁ...
 もっとも...甘えさせてくれないけどね」
顔を見合わせて笑った
杏ちゃんなら、今の私の気持ち、わかってくれてると思う


「へぇ〜〜っ、俺らの打ち合いまったくムシかぁ、楽しそうだな、橘妹?」
「そっ、楽しいよっ」
打ち合い、とりあえず終わった?ドリンク休憩かな?
流石にみんな全国大会に出場するだけのことはある
四人とも汗はかいているけど、息はまったく乱れていない

*****
途中経過報告 31st Aug 12

さあて、ここでカミングアウトか!?
ちょっとドキドキな展開が。。。まったく予想されません(爆)

下書きはできてますが、どうにも自分、体調が悪く清書する気力がおきず。。。
だいたい stomach flu って何ぞ?お腹の風邪??はぁ???
とりあえず、この先の微妙な展開にこの腹具合が悪影響をおこしませんように。。。

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