よみもの~中等部編
10 ~kaoru
放課後の部活は練習にならないのはわかっていたが、それにしても、コレは一体。。。
教室から部室に行くまでに、何度も待ち伏せ特攻され、
着替えて部室から出たら出たで、身動きがとれねぇ
しかし、目の前に突き出されるモノを受け取らないと、なかなか解放してもらえないから、俺は事務的に箱や袋を受け取った
桃城も同じ状態だ
俺はそのバリケードが薄くなった所で、ロードワークに出る
どうせ今日は練習にならないのなら、家に帰って自主トレをすればいいだけのハナシなんだが、
今日は、母さんはおばさんからかのんを『借りている』から、
かのんの練習が終わってから、一緒に帰る事になっている
別にかのん一人でも家に来れるけど、なんとなく、そういう流れになった、というか。。。
これは葉末も承知している
それどころか、葉末は大喜びで、それじゃあ、と、数日前からかのんとメールで作戦をたてていた
作戦、とは、こうだ。。。
朝、葉末はかのんからチョコレートを受け取り、クラスメート達の前でかのんからもらったチョコレートに一日中喜んでみせる
そうする事で、葉末とかのんが放課後に何かがあるんだろうか?という周りの目からのカモフラージュになる。。。らしい、葉末曰く。。。
放課後は何食わぬ顔をして部活にでる
そして、合同練習後も、下校時間まで『自主練』と称して、学校へ残る
葉末は囮になって、少しでも俺の身動きがとれやすいようにする。。。らしい
そこで、俺のとるべき行動は
合同練習が終わると『デートにみせかけて』かのんと下校し、家に連れて帰る
そこまでしなくても、と、俺が言うと、葉末は渋い顔をして俺に意見をする
「だいたい、兄さんは鈍すぎますよ」
鈍いって。。。
「もういい加減にして欲しいんですけどね」
俺が、か?
「かのんちゃんと兄さんの事を承知していながら、
それでも兄さん目的で僕に取り入ろうとする女子が、どれだけいるかわかってますか?」
さあ。。。
「ここでしっかり印象づけてもらわないと、僕がいい迷惑なんです」
はぁ。。。
「だから、できるだけ親密な関係に見える様、行動してくださいね」
どうやって?
「例えば優しく寄り添うとか」
俺は十分優しいつもりだ
「手をつなぐとか」
そんなコトしたら、かのんが杖を使えないじゃないか
「他にもあるでしょ?」
うぅん。。。
「もう、それくらい自分で考えられないんですか?しょうがないなぁ」
葉末はそこまで言うと、渋い顔が呆れ顔に変わった
。。。という作戦を昨晩、葉末は延々俺にいいきかせていたわけだ
俺にはよくわからないが、そうすることで、葉末が納得するなら、そうしよう、と思う
とりあえず、俺は合同練習時間が終わる頃、学校にかえりつけるように、
コースの設定とペース配分をしながら走ろう、と思う
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