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よみもの~中等部編
3 ~canon
入学して3週目「出席番号順の席」から、席替えがあった
神様、神様、どうか、どうか! 南無南無南無。。。
席替えはくじ引きで。。。「12」
やった!!ラッキー、また一番後ろっ、窓際じゃないけど
おとなりは。。。っと、海堂君だ
彼もなかなか、私以上に運のいいヤツらしい
由香ちゃんは。。。げ。。。か、かわいそう。。。一番前のど真ん中
まりなちゃんは、私の2席前で、綾乃ちゃんは、廊下側。。。か
これで、お昼のお弁当席は、私の所で決まりだね

連休前の午後の授業、それも国語。。。うぅ、眠くなる要素大
あ〜〜〜〜。。。先生や、教科書を読むクラスメイトの声がお経に聞こえる
あ、だめだめ、ぼぅっとしちゃいかん、いかんぞ!奏音!!
音が出そうな程、ぱちぱちと瞬きをして、気合いをいれる
ぼーっとしてる間に、朗読はすすみ
今読まれている箇所をすっかり見失ってしまった私は、集中力MAXにして追いつこうと努力した
結果、先生の「はい、そこまで」という言葉と同時に、追いつくことができた、よし!!

「では、次は。。。海堂君、読んでください」

ん?あ、海堂君もぼーっとしてて、迷子になってる
ほらほら、ここだよ〜ん♪
私はみつけちゃったもんねー♪
なんていうヘンな優越感から、にやけそうになる顔を必死で真顔におさえ
指で、とんとんと合図を送ってみた
そうそう、ここだよ〜ん♪

合図に海堂君が気付いてくれて、無事に読みはじめた
いまにもニヤつきそうな口元の緊張を緩めるように、ふぅっ、と息をついたその時。。。

いやだ。。。

真っ先に頭に浮かんだ言葉
さっきまでなんともなかったのに、なんだろう、この気持ち悪さは
まさか、と思った
でも、今は確かめようがない。。。けど。。。
急に血が引いたような気がした
そしてこの気持ち悪さ。。。きっと、そうだ。。。

「あ、あの、大丈夫?」
海堂君。。。
でも、私、なんて答えたらいいのかわからない
情けない、どうしよう

そう思っているうちに、震えがきた
どうしよう、どうしよう
頭の中はそればかりだった

「先生、菊池さんが具合が悪そうなので保健室に連れて行ってあげてもいいですか?」
海堂君の声で、先生が。。。いや、クラスメイト全員がこっちを向いたのがわかる
「菊池さん?具合が悪いのですか?保健室へは一人で行けますか?」
「...あ...あの...」
どう答えていいかわからない
それよりも、今立ち上がって大丈夫なのだろうか?
恐怖に言葉も絶え絶えになる

「あの、僕が付き添います...その...」
「そうですか?海堂君、お願いできますか?
 では、続きを。。。平田さん、同じページの8行目から読んでください」

「菊池さん、立てる?」
そう、海堂君はゆっくりとした口調でたずねる
じっとしてる訳にもいかない、ゆっくりと、下半身に力を入れて立ってみた
下着の濡れた気持ち悪さはあるものの、先程のようなずるり、とする感覚はない
「うん...」
そうして、そっと、そっと教室をでる

ゆるゆると足をすすめる
海堂君は一言もしゃべらないけど、私を気遣ってくれているのがよくわかる
大丈夫、もうすこしで保健室
「.....!」
気持ち悪さが。。。ぬるりと内股を伝う

そして同時に、海堂君の身体が、体全体がビクッと緊張したのがわかった

一人で保健室に行くべきだった
なんで。。。なんで。。。なんでっ!
不安だったから
何が?
だって。。。一人では。。。不安だったから

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