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よみもの~中等部編
10 ~canon

「でも...詩織ちゃん達、すごく綺麗だったでしょう?
 私もピアノを弾きながら、練習中から何度も見とれちゃったもん」

私は自分の気持ちを言葉にすると、
アカヤ君は、うん、と頷いて、詩織ちゃんに向き直った

「詩織ちゃん、キレイだったよ?」

「アンタには聞いてない」

うわわ、詩織ちゃん〜、そんなミモフタモナイ
私は自分の事以上に焦ってしまったけど、なんとアカヤ君はタフなのか何なのか、
一向にその詩織ちゃんのキツい口調にへこむ様子をみせない
スゴい精神力

「本当にキレイだったよ」

アカヤ君はそういうと、持ってた紙袋から、大切そうに箱を取り出した
わわ!!
アカヤ君が詩織ちゃんに用意したプレゼントをみて、私の方が舞い上がってしまった

「わぁ、ステキ!!これプリザ!?」

透明の箱にはいった白い小さなプリザーブドフラワーのリース
プレゼントも素敵だけど、それ以上にこんな素敵なプレゼント用意してるアカヤ君に感動!

「ステキねぇ、アカヤ君、早く渡してあげれば良かったのに
 ね?詩織ちゃん、これ髪飾りにしたら、もっと素敵だったと思わない?」

詩織ちゃんだって、きっとそう思ってる
だって、ふわぁ、って溜め息は、嫌がってる人からでるものじゃない

「海堂、お前だってなんかあるんだろ?」

アカヤ君の言葉に、私、え、そうなの?って期待した

「あ?あるはずねぇだろ?」

「ないの?」

「母さんから差し入れと花、貰ったろ?」

「うん...」

そっか。。。
そうよ、ねぇ。。。
コンクールの時だって、いつも『海堂家』からって、お花や差し入れを頂くけど、
海堂君から直接は貰ったコトないもんね。。。
別に欲しいわけじゃないけど、こうもあっさり言われると、期待した分やっぱりガッカリする

「お前、冷てぇな?みろ、カノンちゃんがっかりしてんじゃん」

「コイツは花よりも、腹にたまるモンの方がいいんだよ」

海堂君は、フン、と意地悪そうに笑って、ホラ、と私にキレイにリボンの巻かれた箱を突きつけた

「わ♪」

今度は逆!
ないんだぁ、ってガッカリしてた分、本当は用意してくれていた事が、余計にうれしく感じる

「ホラ見ろ、やっぱりだ」
「なんでもいーもーん」

うれしくてうれしくて、我慢できなくて。。。
リボンをほどいて箱を開けてみると、キラキラしたチョコが並んでいた
チョコの上には金箔がのってて、本当に宝石みたい
一粒、ぱくっと口に放り込むと、すぐに融ける
おいしい♪
あ、またやっちゃった、食いしん坊。。。一人だけで食べて
詩織ちゃんとアカヤ君にもお裾分けすると、二人とも、おいしいって笑ってる
ね?おいしいでしょ?
おいしいものって、笑顔にしてくれるんだよね〜

「オイ、一気に全部食ってんじゃねぇぞ」

「ん?何で?」

私はもう一粒チョコを食べて。。。
あ、送り主の海堂君にすすめるの忘れてた
食いしん坊もここまでくると、呆れられてもしょうがない
ハイ、って箱を差し出そうとすると、フンってまた意地悪そうに笑う


「それ、後で味見させてくれるんだろ?」


海堂君は、ボソっと。。。だけど、自信満々でちょっと意地悪な口調

は?味見?


「.....もうっ!!」


ホント、どこまでも。。。いつでも自信満々な海堂君

だけど、そんなあなただから

そんなあなただから、ずっと。。。

もっともっと好きになっていくんです

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あきゅろす。
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