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よみもの~中等部編
9 ~canon

この人だかりをやっとのことで切り抜けてきた海堂君とアカヤ君
海堂君が、おぅ、と、いつも通りの不機嫌な顔を向ける
けど『いつも通り』だから、気にしない

「ね?どう?素敵だったでしょ?」

「まさかお前があんな風に出てくるとは思わなかったからな...」

ぼそっと、まるで。。。呆れてるかのような口調?

「びっくりした?」

「まあな」

まあな、と言った後、海堂君は少しだけ顔をしかめる

「お前、化粧してんのか?」

「うん...これでも薄く...なんだけど...」

やっぱりお化粧、似合ってないかな
やっぱり...ヘン、なのかな...って、なんか落ち込んできた

「詩織ちゃんのお母さんにメイクしてもらったの
 全然塗らないと衣装に負けちゃうから、って...ヘン?」

「馬子にも衣装、だな」

「ひどぉい」

やっぱり、かぁ
やっぱりヘンだよね、似合ってないよね。。。

海堂君の言葉にハラが立つよりも、なんかガッカリして。。。
でも、本当の事だもん、とちょっと悲しくもなった

「海堂、お前、どうしてそうひねくれてんだよ?
 素直にキレイだね、って言えばいいだろ?ね?カノンちゃん?」

アカヤ君が励ますように、明るい声と顔を私にくれる
だけど。。。

「ううん...」

励ましてくれるアカヤ君には悪いけど、わかってるもん

「ホントはね、コイツ、カノンちゃんに見とれてたんだよ?」

「ううん、どうせ私じゃなくて、詩織ちゃん達に見とれてたんでしょ
 わかるわよ、それくらい」

海堂君が私の見た目なんて気にしない。。。って、そんなこといつ言った?
やっぱり可愛い子の方がいいよね?
私、やっぱりみっともない?

「海堂はテレてるだけだって、ホントにキレイだから、ね?」

でも。。。
私がいつまでも拗ねてると、楽しい雰囲気が壊れてしまう

「アカヤ君、やさしいね?ありがとう」

折角アカヤ君がほめてくれるんだもん
素直にならなきゃ。。。素直によろこべばいい。。。

すなおに

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あきゅろす。
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