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よみもの~中等部編
7 ~kaoru

全てのプログラムが終了し、俺達もロビーへと移動する
発表会が始まる前よりも人がごった返すロビー
まだ衣装をつけたままの出演者が親や友達と待ち合わせをしている
まあ、俺達も例に漏れず、ってヤツだが

それにしたって
どう考えても、俺。。。と、切原には場違いで、俺達の足は自然と壁際に向かった

ちょっと離れた所では
吉川先輩とかのんの後輩はなにか興奮気味に語ってるし、
母さんとおばさんは二人で盛り上がってるし、
父さん達は父さん達で。。。多分ゴルフのハナシをしてる。。。ソレこそ、場違いだろ

切原と二人、ハァ、と何度も溜め息をついているうちに、かのんがロビーへ姿をみせた
吉川先輩達と楽しそうにして。。。
あ、早速差し入れのクッキーを食ってる
そこに母さん達が加わって、更にもりあがってる
母さんなんて、かのんのスカートをつまみ上げて本当にうれしそうだ

そうしてるうちに、共演した三人とその家族もやって来て、更に賑やかになった

まわりがざわざわしてて、壁に張り付いてる俺達には会話は全く聞こえない
それでも、かのんや共演者がうれしそうに笑っているのをみると、
今日の出来が大成功だったんだろう、と想像できる

「なあ?」

切原のぽそりとしたつぶやきに、我に返る俺

「お前、羨ましい...な」

俺は何を言ってるんだろう、と、切原の顔を見つめる

「お前のツレの方がよっぽど美人だろ?」

俺は、切原が俺の言葉に、当たり前だろ?と返すと思っていたのに、
ヤツはもう一度溜め息をついて、俺から目線をはずした

「そうじゃねぇ...そうじゃ、ねぇ...よ」

なんだろう、コイツらしくない
だけど、何だよ、何が言いたい、と聞く間もなく、切原はニカ!と笑いいつもの口調に戻った

「まっ、詩織ちゃんはお姫様だしよ!美人なのは当然だし?」

お姫様?何バカな事言ってるんだ、と、呆れた俺はまた目線をかのん達に戻す


だが、切原は息をついてもう一度、お姫様だからな、と、つぶやいた

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あきゅろす。
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