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よみもの~中等部編
7 ~canon

発表会が終わると、みんな衣装のままロビーや客席に降りていく
私も、カシミアのストールを羽織ってロビーへでると、直ぐに海堂君をみつけることができた
けど、海堂君とアカヤ君は壁に張り付いちゃってて、なんだかきまり悪そう
確かにねぇ、男の子がバレエの発表会に来るってやっぱりハズカシイ、よね?
なんて、考えてたら、優先輩と瑞希ちゃんが走りよってきてくれた

「奏音ちゃん、すごくよかったよ、ね?瑞希ちゃん?」
「ハイ!すごくステキでした、ドレスも素敵」

優先輩と瑞希ちゃんから、クッキーの差し入れを頂いた
さっそく開けて優先輩と瑞希ちゃんといっしょにもぐもぐもぐ
。。。だって、お腹空いてるんだもん。。。

「俺もやってみたいな、こういうの」

クッキーを飲込むと、優先輩ははぁ〜と、溜め息をつく

「私は観てるほうがいいですよ?だって、本当に素敵でしたもん」

瑞希ちゃんは私の背中に付いてる妖精の羽根が気になるらしくて、
指でとんとん、とつつきながら、ドレス可愛いなぁ、なんて言ってる

「すごく楽しかったし、勉強になりましたよ
 それに、合わせるっていうのは同じだけど、アンサンブルとか連弾とは違う楽しさがありました」

優先輩は、そうだよねぇ、俺もやってみたいな、ってまだ言ってるし。。。
でも優先輩だったら、私よりもずっといい演奏ができると思うのよね

「奏音ちゃん、お疲れさま」

お母さんと海堂君のお母さんが私達の所へやってきた

「奏音ちゃん、素敵じゃない?
 こうしてみると、バレリーナに見えるわね?」

穂摘ママは、もう、にっこにこで、私のチュチュを摘んでる
やっぱり女の子っていいわ〜って、いつものように笑いながら

「おばさま、差し入れありがとうございました
 お友達とおいしくいただきました」

「喜んでもらえたかしら?」

「もちろんです!私達4人で全部頂きました!」

まあ、と、笑う穂摘ママと、食いしん坊なのはあいかわらずか、と笑うお母さん

「ね、お母さん、私のピアノどうだった?」

「それは、踊った人に聞いてよ?
 伴奏は自己満足じゃだめなの、わかるでしょ?」

「もぅ、お母さん、厳しい」

そりゃあ、もっとも、だけどさ
ちょっとは褒めてくれるとか、そういうのないのかなぁ。。。
って、頬が膨らみかけたとき、シルフィードの三人がやってきた
みんな舞台を降りても、ふわふわと本当に妖精みたいでかわいらしいなぁ。。。

詩織ちゃん達は順番に私を、むぎゅーって、抱きしめて、小さな花束をくれた
三人から、私へお礼なんだって。。。
そんなお礼とかいるの?
私からもみんなに何か。。。いるのかな
でも、そんなの用意してないし、困ったな。。。なんて考えてたら、
何とお母さんが、三人に、お疲れさまでした、仲良くしてくれてありがとう、って、小さな包みを渡す
お母さん、実はこういうの慣れてるとか?
何にしても、お母さん、感謝!!

「ね、私の伴奏どうだった?」

そうそう、本題はこっちよね

「踊りにちゃんとあってたかな?」

実は途中から。。。特にグランワルツは自分が気持ちよくなっちゃって、
伴奏って意識がなくなっちゃってたんだよね、反省

「どうもこうも、あんなに気持ちよく踊れるの、奏音ちゃんだけだし」

「ホントに?」

安芸ちゃんも絵里ちゃんも、うんうん、って笑ってくれる

「もう私の専属になって欲しいくらいよ?」
「あ、それずるい〜、私も」
「ホント、レギュラーで伴奏に入って欲しいよね?」

詩織ちゃんは、だめー、私の専属なのー、って私の首に巻き付いて、
安芸ちゃんはずるい〜って、反対側から私の腕に手を回し、
絵里ちゃんは、奏音ちゃんは私が貰った、なんて言いながら後ろから私の腰に腕をまわしてる

なんだろうな、うん、なんか。。。不思議
でも、すごい充足感

伴奏、やってよかった。。。って、心から思える

こんな機会を与えてくれてありがとう

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あきゅろす。
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