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よみもの~中等部編
8 ~kaoru

さあ、帰ろう、ということろで、海堂!と、桃城があのバカ声を上げながら走りよってきた

「写真、撮らねぇか?」

桃城は西森を呼びつけると、必然的に、アイツらの両親もこっちにやって来た
ホラ見ろ、また母さん達の井戸端会議が始まったじゃないか。。。

おばさんはかのんに、写真とるんでしょ?と、卒業証書を渡す
その間にも、桃城と西森は、校舎をバックにいろんなポーズをとってる

。。。恥ずかしいヤツら。。。

俺とかのんは普通に、ごく普通に二人で並んで立つ
しかし、葉末はソレが不服のようだ

「もう兄さんもかのんちゃんも...
 由香先輩達みたいにしろとはいいませんけど、
 もうちょっとうれしそうにするとか、仲が良さそうに立てないんですか?」

そんなコト言われても。。。

俺もかのんも同時にお互いの顔を見合わせる

「そんなコト、言われても...ねぇ?」
「あ、あぁ...」

そんなポーズ、っつったって、どーすりゃいいんだよ?
だが、葉末がじぃっと俺を睨む
ハァ。。。
ポーズ。。。なぁ。。。

「拳...だせ」

俺はかのんの手首を握り、前に突き出した
ポーズなんて、俺にはコレくらいしか思い浮かべる事ができなかった

葉末はニっと笑って、すかさずにシャッターを切る

「いい写真が撮れました!」

俺はその瞬間、かのんの手を放す
だって、こんなの一秒だって恥ずかしくてやってられねぇだろうが?

「やっ、やだっ!?
 私、ヘンな顔してたでしょっ?」

葉末がいい写真、と言ったのに、かのんはどうやら不満のようだ

「お前がヘンなのはいつもだろ?」

「かのんちゃんらしくていいですよ?」

俺も葉末もコレで満足
っていうか、俺にはコレが精一杯、なんだが。。。
それにいつもお前が言うじゃないか『多数決』だって
むすぅっとするかのんを、俺は知らんぷりでやりすごせばいいものを、
拗ねてるお前の顔がおもしろくて、つい、煽ってしまうんだ

「その顔もおもしれぇ」

「うるさいっ」

白い顔に、赤みが差していく

「なんだよ」

「別にっ!
 そりゃ、誰かサンは、キレーな顔で、スタイルもよくて
 とーーーーーっても、おモテになりますからっ!!」

そして、少しだけ眉を寄せて。。。目を潤ませて俺を睨むんだよな?

「ひがみか?」

「なによっ、悪い?
 どーーーせっ、私は美人でもなければ、スタイルが良い訳でもないしっ
 ガリヒョロペッタンコですからっ!!
 僻みたくもなりますーーーーーーだっ!」

遠慮もクソも無く次々と飛び出す嫌味の数々
ぷぅっと膨らむ桃色の頬
そして、プイっと顔をそらせる

「お前なぁ...」

くるくると変わる表情
そうだな
初めて顔を合わせた日。。。
俺達がここ、青学に入学した日にも思ったんだ
『豊かな表情の見本市だ』って
そう、これが、本来のかのん
素の、かのんだ。。。

好きだな、と、思う
本当に

そんな事を考えてると、不意にかのんが俺に顔を向けた
そしてまた桃城のバカ声が響く

「海堂!お姫様だっこでもしてやれよ?」

「んなコトできるかバカっ!!」「いやよそんなのっ!!」

桃城がニヤニヤと笑ってる
俺は、なんだか自分の心の中を見透かされてしまったような、
そんな焦りもあって、ムキになって言い返すが。。。

「なぁに恥ずかしがってんだよ」

だからってもう、そんな簡単には煽られたりしない
俺だって成長してるんだからな

「あぁ?違ぇよ...言ったろ?
 かのんはこう見えて、とんでもなく重いからな」

「もうっ!!」

俺の顔を睨んでいるらしいかのん
こんな無防備に人前で感情を出すかのんは珍しい
それはきっと俺を、そして、コイツらを信じているから、だろ?

そう、もう怯える必要はない
もう怯えさせはしない

「あぁ、もう...ホラ...」

葉末の溜め息と、うんざり、というような声にはっとした

「もうそろそろ帰った方がいいですよ、兄さん...と、桃城先輩も
 また『兄さん達のファン』が、遠巻きに眺めてますよ?」

またあの集団にのまれるのはうんざりだ
それは、桃城も同じだろう
俺だけじゃなく、桃城も小さく、舌打ちをする


そして


俺達は、またな、って手を振る

そう『またな』


青学に入学して
俺はいろんな人たちと出会った

先輩

後輩

ライバル


そして、かのん


お前がいてくれてよかった

お前がいたから

今の『俺』があるんだ


「行くか」


俺はかのんの手をとる


同じ道を歩んで行こう

いや、同じ道じゃない
俺には俺の、そして、かのんにはかのんの進むべき道がある

そう
同じ道じゃなくてもいい

ただ、同じ時を
そして同じ想いを共有していきたい

この先も一緒にいられるように、と
祈りにも似た感情

この先ずっと

かのんが笑っていられるように

かのんと一緒に笑っていられるように


そして

お前と

俺自身とに


  ___誓い、を

***********
あとがき

卒業おめでとう!

そして、ご卒業を迎える皆様へも、お祝いを申し上げます。

  ご卒業おめでとうございます。

なかなか前に進まなかった卒業編ですが(苦笑)
ぐちゃぐちゃしすぎて、わけがわからなくなってしまい、
「よし、発酵(?)期間を設けよう」と、しばらく寝かせてみたんですがwww
発酵どころか、もう腐って臭ってきそうだったので(爆)、
結局、あっちこっち削除しまくってどうにかまとめ(?)ました。
いままでのお話に比べるとこぢんまりwとしてしまいましたね。

春休み編も只今発酵期間中。
やっぱりいる?いらない?
まだまだ葛藤が続きそうです。
25th Feb.2014


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