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よみもの~中等部編
8 ~canon

帰りましょうか?と、移動を開始した所で、桃城君が大声で海堂君の名前を呼んだ

「海堂!!」

それに気付いたお母さんが、あら、モモちゃん、と笑う
そして穂摘ママも

「写真、撮らねぇか?」

桃城君は手を振って由香ちゃんを呼び、由香ちゃんと桃城君のご両親もこちらにやってきた
そしてまた親同士の親睦会が始まり、私達は校舎を背に卒業証書を抱えて、かわりばんこに写真を撮る
一人だったり、二人。。。だったり
はずえクンが4人の写真も撮ってくれた

由香ちゃんと桃城君は、卒業証書でチャンバラごっこのようなポーズや、
テニスラケットを構えるような格好だったり、拳を合わせたり、突き出したり
肩を組み合って。。。って言っても、由香ちゃんと桃城君の身長差がけっこうあるから、なんか、無理矢理なカンジ
仲良く肩を組むってよりも、由香ちゃんに押さえつけられてるみたいになってるけど
次から次へとポーズを変えて、本当に楽しそう

それに比べて私と海堂君は、なんだかビミョウな距離感が余計に恥ずかしい

そんな私達に、はずえクンは呆れ顔

「もう兄さんもかのんちゃんも...
 由香先輩達みたいにしろとはいいませんけど、
 もうちょっとうれしそうにするとか、仲が良さそうに立てないんですか?」

私も海堂君も同時にお互いの顔を見合わせる

「そんなコト、言われても...ねぇ?」
「あ、あぁ...」

私は、はぁ、と正面を向き直った時に海堂君がボソっとつぶやいた

「拳...だせ」

あれ?って思う間に、海堂君は私の手首をぐい、と握り、そのまま前に突き出した
その突き出した私の手には、卒業証書が握られてて。。。

『卒業証書もらったぜ、どうだ、見てみろ!』なポーズ?
唖然とする私は、マヌケ顔を元に戻す間もなく。。。

「いい写真が撮れました!」

って!?
はずえクンは、カメラを降ろして私に笑いかけた

「やっ、やだっ!?
 私、ヘンな顔してたでしょっ?」

焦る私とは反対に、海堂君は真顔で。。。

「お前がヘンなのはいつもだろ?」

えーーーー。。。

「かのんちゃんらしくていいですよ?」

はずえクンのセリフはともかく。。。
ヘンって言われて、うれしいはずがないでしょ、まったく

悶々と考えてると、何だかハラが立ってきた、今更、だけど。。。

「その顔もおもしれぇ」

淡々と口をひらく海堂君に。。。

「うるさいっ」

「なんだよ」

余計にハラが立って。。。

「別にっ!
 そりゃ、誰かサンは、キレーな顔で、スタイルもよくて
 とーーーーーっても、おモテになりますからっ!!」

「ひがみか?」

段々と本気になってくる

「なによっ、悪い?
 どーーーせっ、私は美人でもなければ、スタイルが良い訳でもないしっ
 ガリヒョロペッタンコですからっ!!
 僻みたくもなりますーーーーーーだっ!」

「お前なぁ...」

それなのに、海堂君は呆れ顔で私を見てる
それも、ちょっとムカつく
だって私だけこんなの、バカみたいじゃない?
うむむ、と考えてると、ふい、と、桃城君と目が合った

桃城君は、にっ!と笑うと、あごをしゃくって海堂君へ私の目線を促した
そして私が顔を海堂君に向けた瞬間

「海堂!お姫様だっこでもしてやれよ?」

「いやよそんなのっ!!」「んなコトできるかバカっ!!」

海堂君と私が二人して大声を上げると、桃城君が大笑いをはじめて、由香ちゃんもはずえクンもけらけら笑ってる

「なぁに恥ずかしがってんだよ」

「あぁ?違ぇよ...言ったろ?
 かのんはこう見えて、とんでもなく重いからな」

「もうっ!!」

海堂君を睨みつける私
だけど、海堂君はその私の視線を簡単に受け流して、
いつもの通り、フンっ、ってちょっと意地悪げに鼻を鳴らすの

でも、そんなあなたが大好き。。。

「あぁ、もう...ホラ...」

はずえクンの溜め息に、私達全員の笑いがすぅっとひいた

「もうそろそろ帰った方がいいですよ、兄さん...と、桃城先輩も
 また『兄さん達のファン』が、遠巻きに眺めてますよ?」

桃城君が、ちょっとだけ眉をしかめる
はずえクンと由香ちゃんは苦笑いをしてる


そして


またね、って私達は手を振って別れる

そう『またね』


青学に入学して

みんなと出逢って

海堂君と出逢った


うれしかったこと

つらかったこと


いつもいつも

そこにあなたがいた


海堂君は、行くか、って笑ってくれる

そして

海堂君は私の手をぎゅっと握った


みんながいたから

海堂君がいてくれたから。。。

私の『今』がある


ありがとうをこめて


   ____私は笑おう

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