よみもの~中等部編
6 ~kaoru
うんざりする程退屈な卒業式も、やけにテンションが高いホームルームも終わって、
やっと教室を脱出できたというのに。。。
俺は、玄関先でもみくちゃにされている
周りの勢いに押されて、なんのアクションもとれない俺の横をかのんが素通りしていった
直ぐそこに母さんと父さん、おばさんとおじさん、そしてかのんと葉末もいるのに
俺は、この人垣を突破できずにいる
もう、何が何だかわからず、あー、とか、うん、とか言いながら適当に受け流すしかできない
今となっては、かのん達へと視線を向ける事すら難しい
「海堂先輩!ボタンください!!」
はぁ?
ボタン?
何だソレ??
それを合図に、私も!私も!がはじまる
ちょっとまて、ボタンが無くなったら俺は何を着て帰ればいいんだ?
そうこうするうちに、女子の一人が俺のボタンに手をかけた、が、
俺がその手を掴み、やめろ、と言うと、急におとなしくなり、
さっきまでの『私も!攻撃』の勢いが一気に引いた
俺はその隙を逃さずに、親、待たせてるから、と言って、かのん達がいる桜の木の下へ走った
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