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よみもの~中等部編
5 ~canon

最後のホームルームが終わると、
私はクラスメイト達に手を振って、一人玄関へ向かう

今度は校内のあちらこちらで、
卒業生、在校生、父兄入り交じってのグループができていた

玄関まで来ると、海堂君がテニス部の後輩や、
ファンの女の子達に囲まれて賑やかにしてるのが目に入った

だけど
私がそのすぐ横を通っても、誰も気にしない

ふっ、と、誰にも気付かれないように私は息をつく
気にしてるのは。。。今まで気にしていたのは、私だけ

私はいくつもの賑やかなグループの横をぬけ、
お母さんと、海堂君のお母さん、そしてお父さん達のいる桜の木の下へ向かった

「ホント、薫君って人気あるのねぇ?」

お母さんが、呆れてながら、海堂君達の集団を眺める

「そりゃあそうよ?
 だって、青学VIPの中でも5本の指には入るもん」

私は卒業証書をお母さんにハイ、って渡してると、穂摘ママがくすりと笑った

「あら、奏音ちゃん、ヤキモチ妬かないの?」

ちょっと意地悪な質問に、私はどうしてですか?って、しら〜っと答える

「海堂兄弟ってすっごい人気なんですよ?
 ヤキモチなんて妬いてたらきりがないんです、
 でも...」

はずえクンが私達のすぐそばまで近づいてきてる
ホラ、ね、誰も私達の事なんて注目してない
誰も私のコトなんか気にしてない

「はずえクンは、お兄さんよりもモテますけどね?」

「僕が何ですか?」

「あれ〜?はずえクンいたんですか?」

おもいっきり白々しいセリフ

「いーえ!丁度来た所です」

だけど、はずえクンはそれ以上の白々しさを含ませて、場を和ませる

「それにしてもまったく、兄さんは...」

「そんなコト言って...はずえクンの時はもっとすごいから」

「でも僕は兄さんと違って要領もいいですから
 あんなに、もみくちゃになる事はありませんよ」

ふざけあう私達に、お母さん達も苦笑してる

「あらぁ...葉末君
 それって、自分が薫君よりもモテるって肯定してるようなものじゃない?」

「ええ!智子母さん、その通りです」

ふふん、ってちょっとイジワルっぽい笑い方をするはずえクンが、また海堂君と重なる

「それにしても、薫はまだなのかな?」

お父さんとお話しをしてた飛沫パパが、首をながくして海堂君まんじゅうを眺めた
それに倣って、お父さんもお母さん達も、ふぅん、って。。。
感心してるのか呆れてるのか

「おじさま、しょうがないですよ」

「もう兄さんなんかほっといて帰っていいんじゃないですか?」

はずえクンもうんざり、って顔になってる

今日、お母さんとお父さんは駅近くの駐車場に車を停めている
うちの車は7人乗りなので、みんなを乗せてそのまま海堂家へ向かう事になっていた
あ、はずえクンは部活があるから、夕方にしか帰って来れないけど。。。

「じゃあ、薫には自分で電車で帰ってきてもらおうかしらね?
 本当に、あれじゃぁ...何時解放されるかもわからないわ」

穂摘ママはちょっとだけ首を傾げて溜め息をついた

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