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よみもの~中等部編
2 ~kaoru

かのんの歩みに合わせて、俺もゆっくりと歩く

もう学校の中では杖を使わなくてもよくなった
だが、まだ完全というわけではない
普段の何でもない動作も、膝が伸びきらないかのんには難しい事もある
今だってそうだ
階段の上り下りには必ず手すりを使うし、通学時にはまだ杖を使う
危なっかしさがなくなった、というだけだ

それにしても気になるのは。。。
かのんは気付いてないみたいだが、さっきから俺達の後ろで何人かの女子がうろうろしている

こういう時は。。。そうだな。。。
 『ちょっと見せつける位の事をしてみせればいいんですよ
  そうすれば、かのんちゃんはガールフレンドなんだって、
  周りも納得しやすくなるんです』
葉末の言う通りに。。。

「卒業...っつっても...何か実感がわかねぇな」

かのんの顔を横目でちら、と、見ると、一瞬だけ目を丸くして、俺の顔をまじまじと見つめた

「ホントだねぇ...
 去年も一昨年も、先輩達の卒業式みてそう思ったけど、
 自分が卒業生になってみると、なおさら、よね?」

「だな」

俺はできるだけ、自然にみえるように注意しながら、かのんの頭に手を乗せる
こんなカンジでいいんだよな?
俺、わざとらしくねぇよな?


俺とかのんは付かず離れず、
そして、言葉を交わす事無く、ゆっくりと階段をのぼる

。。。まだついてきてるのか?
本当は音楽室の中まで入ってピアノの支度もしてやりたかったが、
二人で誰もいない教室に入っていった、と、またヘンな噂をたてられでもしたら、たまったもんじゃない
俺は音楽室には入らない方がいいだろう

「明日、な?」

背中に手を当てると、かのんは、うん、明日ね?と、ふにゃっと笑った

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