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よみもの~中等部編
5 ~kaoru

学校までの道のり

俺とかのんと桃城と西森の4人で歩く

こそこそと、何か言ってるヤツがいる
笑ってるヤツだっている
あからさまに俺達の事を指差すヤツもいる

だんだんとかのんの顔が沈んでいく

「ね、私につきあってたら、みんな遅刻しちゃうよ?
 先に行っていいから...」

ぼそぼそとつぶやくかのんに、西森がいつもの調子で檄を飛ばした

「はぁ?ばっかじゃないのアンタはっ」

そして、桃城もわざとらしい程の大きな声でその言葉をつなげる

「そうだぜ?
 それにしてもよ、俺達が一緒にいるからって、何が珍しいんだよ?」

一瞬、ざわっとした
多分俺の気のせいじゃない

いままでちらちらと俺達の様子を伺っていた周りの目までもが、
一気にこっちに向かうのを感じた

「だいたい...誰が好き好んで怪我なんかするんだよ?
 オイ、知ってるか?
 カノンちゃんの怪我は、海堂、お前や俺達の気をひく為に、
 わざと怪我したんじゃねぇか、って、
 ふざけた事言ってるヤツがいるらしいぜ?」

「テメェっ!!」

へらへらと笑ってる桃城に、
俺は我慢ができなくて、ヤツの襟元をグッと掴んだ

かのんが泣きそうになってる
顔を背けて。。。またあの小さな背中を見せて、震えている
もう、泣いている
また。。。泣いている

「あ、海堂君も知ってるんだ?」

西森が俺の事を睨みつけていた

「そんなハズねぇだろっ!?」

俺は西森を怒鳴りつけた
バッと、桃城がおれの腕を払う
そして、厳しい顔で西森と同じ様に俺を睨みつけていた

「当たり前だ、そんなハズねぇ...
 だけどな、一度そんな風に言われれば、
 噂ってのはハッキリする迄は、ぐちゃぐちゃと言われ続けんだよ」 

俺はハッとした

これは。。。わざと、だ

桃城達はわざと、俺にこの場で。。。
そうだ、大勢が俺達に注目する中で『否定』させたかったんだ
だからって、こんな。。。かのんが辛いばかりじゃないか。。。

何故いつも誤解を解く為に、かのんが傷つかなきゃならない?
何故
2年の終わりにも、先輩達に煽られた俺は、
かのんの気持ちも考えずに、無茶な行動をした
結果、それは噂を鎮められるだけの効果はあった
だが
その時だって、どれだけかのんが辛かったか想像がつくか?
泣いて、泣いて。。。
一人で。。。泣いて
ずっと我慢していたんだ。。。一人で

そして。。。今も。。。

「何を言われたって、俺とかのんは今まで通りだ
 何も変わっちゃいねぇ
 言いたいヤツにはいわせておけばいい
 だからって、こんな風にかのんを傷つけんじゃねぇっ!」

俺は桃城の腹に、拳を打ち込んだ
勿論、本気じゃない、ただのポーズだ
だが、それでも、桃城はグッとなりながら、ニヤッと笑う

「厳しいねぇ、このマムシ野郎が」

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