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よみもの~中等部編
20 ~canon

クリスマスコンサートから数日後
リハビリ室に行くと、あのきれいな子がいた
椅子に座って片足だけあぐらをかいて、ストレッチをしてる。。。たぶん
それにしても、まだリハビリがいるのかな?、時間待ちかな?と、ちらちらみてたら、
あの子も私の事に気付いたみたいで、こっちをみて。。。手を振ってくれる

わわっ!?
私、なんて不躾なんだろっ!?じろじろみちゃて!!
ごめんなさい、って、ぺこりと頭を下げると、
きれいな子は、にっこり笑って、また手を振ってくれた

わーーー。。。ホント、かわいい。。。
その百分の一でも私にかわいらしさがあるかしら。。。
イヤ、ない。。。落ち込む


『今日のノルマ』を達成したばかりで、膝が笑って歩けないから、
少しここで休んでいこうと思ってた所に、
リハビリがおわったあの子が、私の所までやって来た

「こんにちは」

姿かたちだけじゃなくて、声までかわいいなぁ。。。

「こんにちは、足、まだよくならないの?
 バレエするんでしょ?」

きれいな子は、にこっと笑って足をストン、と、簡単に前後にクロスさせた
えぇと。。。バレエの足?っていうのかな??
ちょっと普通じゃ有り得ない足のポジションに驚いてしまった

「捻挫は治って、もういいの
 ただ、何度も繰り返すから、クセになってるみたいで...
 井上先生って、結構有名なボディトレーナーなのよ?
 それで、少しでも予防にと思って、通ってるの
 あなたは...手術?」

「そう、こけちゃって...前と同じ所痛めて...
 どっちにしても、冬休み中にもう一度手術する予定だったから」

今度は前にあった足を横にスライドさせて、つま先を伸ばす
うわぁ。。。これもなんか有り得ない角度で膝と甲が曲がってる。。。

「大変ね?リハビリ、辛い?」

「ははっ...すっごく痛い、むっちゃくちゃ痛い
 けど、足がまっすぐ伸びなくなるのはイヤだから...」

そして、横にスライドさせてた足を、後ろにピタ!と収める
『収める』という表現がぴったりな程、またありえない角度と位置で足が止まる
その尋常じゃない『バレリーナの足』に、言葉を失った私
でも、きれいな子はまた笑って、言葉を続けた

「ね、ピアノ弾くでしょ?」

「あ?うん」

「前に聴いて、あんまり上手でびっくりしちゃった
 今日は?弾かないの?」

「この後、ちょっとだけ弾いてもいいって
 それだけが楽しみだから」


それから私達は、自己紹介をし合って、
きれいな子、野村詩織ちゃんはあとでピアノ聴かせてくれる?と、
笑ってリハビリ室を出て行った

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あきゅろす。
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