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よみもの~中等部編
17 ~kaoru

病院に着くと、母さんが待合室で俺を待っていてくれた
そしておばさんも、もう着いて今はかのんと一緒にいるらしい
保健の先生は、おばさんが着いた後、簡単な説明をして、
学校に帰ったそうだ

電車に乗って来た俺が一番時間がかかった、というわけなんだが。。。
「着替え、持ってきてるのよ?」
俺は母さんから受け取った着替えをすませ、待合室に戻ると、おばさんがこっちに来るのが見えた
お茶しようか?それとも早いけど、お昼ゴハンにする?と、
やけにハイテンションで俺と母さんを誘う

ちょっと早いって。。。11時にもなっていない
まあ、いいか
俺は弁当もあるし。。。と思ってたら、母さんがある提案をする
「じゃあ、私がなにかお弁当を買ってくるから、サロンで頂きましょうか?」
俺を連れて近くのデパートの地下へ買いに出ると言う
おばさんは、入院の手続きもあるし、ここを離れるわけにはいかない

まあいいんだけど。。。
どうせ俺の事、荷物持ちにさせる気だ、母さんは

おこわやお惣菜を買い込む母さんは、
まるでピクニックに行く支度を楽しむ人。。。だ
行くのが楽しいんじゃない、あくまでも『支度』が一番楽しいタイプ
「母さん、これじゃ買い過ぎだろ?」
「いいのよ〜、後で、奏音ちゃんだって食べるでしょ?」
「はぁ?そんなに勝手にイロイロ食べていいのかよ?」
母さんは、あら、そうなの?と不思議そうな顔をするが、
どうせ薫が沢山食べるでしょ?と、まったくおかまいなし、だ
。。。どうやら俺は、荷物持ち兼残飯整理係らしい


買い出しをすませた俺達が病院に戻ると、
おばさんはもうしっかりとサロンのテーブルを確保して待っていてくれた
テーブルに広げられた俺の弁当と、俺達の買ってきた食べ物
全くこの様子は、ピクニック、だ
ほらみろ、母さんもおばさんも、喋ってばかりで、
ほっとんど!食べてないじゃないか
どうすんだよ、コレ。。。

俺はとりあえず、自分の分であろう三分の一をどうにか片付けた
が、やっぱり、多すぎるだろ。。。

ある程度まで来ると、もうそこから先は誰も箸を動かす事はなくなり
母さんが、片付けましょうか、と、買ってきた総菜を包み直した
「薫君」
「ハイ?」
「ありがとう、ね?」
「いいえ...」
「学校もサボらせちゃったみたいだし?」
おばさんは、にっ、と笑って俺の頭をヨシヨシした
「いや...母さんが...」
母さんが保健の先生と相談して俺を帰しただけ。。。だけど。。。
俺はちらり、と、母さんの顔を伺うが、
母さんは知らんぷりをしている

でも。。。

きっと学校にいても、一日中、かのんの事が気になって、
何も手に着かなかったはずだ
「ん?」
言い訳なんか要らないよな
「ハイ」
俺もここにいたかった

「でもねぇ〜え?」
あ。。。この口調は。。。ちょっとイヤな予感。。。
「なんスか?」


「ホントにちゅーしかしてないの?」


ぶほっ!!!!!


ヨカッタ。。。今日はクチの中はカラで
「あら?薫、そうなの?」
「母さっ、げほっ」
だけど、今度は自分の唾で咽せた

母親二人に挟まれて、俺はテーブルに突っ伏す。。。訳にもいかず、
間で小さくなっているしかない
なんかさっきの問診で、そのテのハナシになったとかナントカ。。。
中でどんなハナシがされたのかは、俺にはハッキリわからないが、
おばさんと母さんの笑い話からすると、
どうやら、俺達がヤッたのヤッてないだの
。。。という事が、会話の主軸だというのは、確かだ
まったくこの母娘もいい加減、アレ、だが、医者だってどうなんだよ?
あ。。。でも、あのずんぐりした医者だったら。。。
俺はあの日、鼻歌を歌いながら、スキップもどきをしていた医者の後ろ姿を思い出す
類は友を呼ぶ。。。きっとそういう事だろうな
ヘンなヤツのまわりには、ヘンなヤツが集まる、って事だ
あれ?じゃあ俺も、その一人?か??
悶々と考えていると。。。

「薫も男の子だったのねぇ...」

って、なにしみじみしてんだよ、母さん。。。
俺は男だろっ!?
なんなんだよ、自分達がヤるなって言っておいてっ!
ヤッてないからって、残念そうな顔するなよっ!!
まったく、どうしろってんだよ!!!

ちょっと。。。
ここにいる事を後悔し始めたぞ、俺は。。。

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