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よみもの~中等部編
14 ~kaoru

なるべく、揺らさないように、ゆっくり歩いた
かのんが俺の首にしっかりと腕をまいているから、
俺は両腕で太ももを抱えていられる
それにサポーターのおかげで、かのんの足がふらふらすることはない
だが、それでも、足にかかる負担は『0』にはならない
俺の耳に届くかのんの呼吸は次第に浅く、荒くなっているのがわかる
身体が痙攣のような嫌な震え方をしている
「痛むのか?」
そう尋ねると、こく、と頷く

俺は少し迷った
ここでかのんを降ろして、横にさせた方がいいのか?
しかしもう、保健室は目と鼻の先だった
ここで降ろせば、身体は楽かもしれない
それがこういう場合、正しい対処の仕方かもしれない
だが、他人の目に晒されるほうが、かのんにとって辛いはずだ
「もう少し、我慢してくれるか?ダメか?」
その問いに、震える声で、だいじょうぶ、と言う
「ちゃんとつかまっとけ...俺の制服にハナミズつけんじゃねぇぞ」
こんな時に、間抜けなコトを言う俺も、どうかしている
それだけ俺自身にも余裕がないってこと、か。。。
「そんなコトしない...」
ずびっと、ハナをすする
そして漏れた息にまじって、ごめんね、と聞こえたような気がした

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