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よみもの~中等部編
13 ~hazue

「ハンデ負ってるヤツに、みっともない、って笑うお前らがみっともねぇ」


兄さんの静かだけど、鋭い声が耳に刺さる

そして、フッと、僕にかかっていたかのんちゃんの重みが消えた


「葉末、お前には、無理だ」


兄さんは気まずそうな顔を僕に向けながらも、
確実に彼女の身体を僕から奪った

兄さんは何故、
簡単に彼女をその腕の中に収めてしまえるんだろう
僕には何故、それが叶わないんだろう

手に入れたと思ったもの
それは僕の思い違い?

一人で勝手に舞い上がって


ホントに『みっともない』や。。。


「かのんは細く見えても、結構重いから、な?」

兄さんは気付いている
僕の狡い計画を
そうじゃなければ、こんな台詞なんか絶対にはかない

「ホントですよ、兄さん、
 僕、カノンちゃんと一緒に転んでしまったらどうしよう、って、
 ドキドキしてたんですよ」

でもね、
それを兄さんに見抜かれて動揺するような無様な事はしません

僕にだって、プライドがあるんですよ

かのんちゃんが浅い息をつきながら、兄さんにささやく
「海堂君...私、自分で歩くから...はなして...」
「歩けそうだと思ったら、こんな事するかよ、バカが...
 葉末、かのんの荷物、持ってきてくれるか?」
僕は黙って頷き、バッグを拾った
口を開いたら、一緒に涙も出てきそうだった
「保健室でいいな?」
そう言った兄さんの腕に力が入るのがわかった

もう耐えられなかった

「僕、先に保健室へ行って先生に説明しておきます」
「すまない...頼む」

謝るくらいなら、
どうして隙をみせたんですか?
どうして?
兄さんはわかっていたんですか?
どうやったって、アナタに勝てるはずのない僕を
知っていたんですか?


それこそ『傲慢』ですよ


わかっていたんだ

兄さんとキミの間に入る事は不可能だって
それでも
隙を見つけた、と、思った


僕の浅はかな
そして愚かな過ちを

イヤというほど、目の前に突きつけられる


こうなること、本当はわかっていたのに

僕は

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