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よみもの~中等部編
12 ~kaoru

青春台駅からの通学路
ふと顔をあげると、かのんの姿をみつけた

怪我をしてからもう3ヶ月近く経つのに、
まだ、左膝はちゃんと曲がらないのか伸びないのか、
ひょこひょこ、と杖をついて歩く姿は、
もたもた、として、本当に危なっかしい

本当は駆け寄ってやりたい
一緒に寄り添って、支えて。。。
でもお前が望まないのなら、
俺にはどうする事もできない

そう思うと、ますます惨めな気分になってくる
だんだんと俺の足も重くなり、
途中のコンビニで、
欲しくもないスナックを買って時間をつぶす


靴を履き替え、目を上げるとかのんがすぐ先にいる
コンビニで時間をつぶして、
ゆっくり歩いて来たつもりだったのに、追いついてしまった
でもかのんから俺の姿は見えない、見えない方がいい
きっとまた冷たい表情を向けられる
そんなのは、イヤ、だ

俺はぐずぐずと、何をしているんだろう。。。


床が濡れていたのか、かのんの杖がつるん、とすべった
べたん、と派手な音を立ててかのんの身体が倒れ、バッグも放り投げられる

また俺は何もできずに、かのんの姿を他の連中と一緒になって眺めるだけ
だが、様子がヘンだ。。。
めくれあがったスカートをなおそうともせず、うずくまっている
まさか。。。またどこかを痛めたのか?
足がかのんへと向いたその時、葉末の叫び声がした
「かのんちゃん!?」
かのんに駆け寄る葉末

何で俺は、葉末のように素直になれないんだろう
葉末、お前。。。
桃城が言う通り、なのか?
かのんの事が好きなのか?
それもいいかもしれない
俺よりもずっと葉末のほうがやさしいもんな
俺なんかといるよりもいつも楽しそうにしてるもんな

二人の姿をみながら、どんどん卑屈になっていく俺
こんな俺なんて、かのんじゃなくてもイヤに決まってる

「かのんちゃん、痛むんですか!?」
「......」
「立てませんか?」
そう言って、葉末はかのんを抱え起こすと、
かのんは小さく唸り、その声が葉末をあわてさせた
「だ...いじょうぶ、だから...」
それでもかのんは、葉末に笑ってみせる

痛みをこらえているんだろう
浅い呼吸をしながら、杖を頼りに立ち上がろうとして、
またガクン、と膝が折れた
葉末は、そのかのんを支えたが、支えているだけで動く事もできない
そればかりか、ふらついて、今にも二人で転んでしまいそうだった

くすくすと笑い声が聞こえる

「みっともなぁい」
「ホントよねぇ」

くすくす くすくす。。。

かのんの顔が青ざめていく

「まったくだ、みっともねぇな」

「あ...海堂君」
その俺の声に、笑い顔のまま振り向く

そして、まわりのくすくす笑っている声が、また増えていく


「ハンデ負ってるヤツに、みっともない、って笑うお前らがみっともねぇ」


人目を気にして、こそこそしてる自分こそが、
一番みっともない

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あきゅろす。
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