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よみもの~中等部編
12 ~canon

もうすぐ冬休み

結局私の足は、手術をしないといけないらしい
リハビリ、無駄になっちゃった

普通にしているのはもうほとんど痛みもない
ただ、少し捻ると痛いし、何よりも、かくかくとして頼りない

家の中では杖は使わない
だけど、急に、かくん、と膝が崩れる
それが怖くて、つい杖に頼ってしまうのは、
本当は良くないんだろうけど。。。
クセになっちゃってるのかもしれない

もうなんでもいいや、
どうせ手術をしたらまた、
大袈裟な固定具と杖にどうやったって頼らなきゃいけないんだもん



青春台駅から学校へ向かう道
のたのたと歩く私の横を、生徒達が追い越していく

その度に耳につく笑い声
私の事を笑ってるのかな、なんて。。。
あーもう、被害妄想も大概にしないとね

でも。。。


どこかで笑われてるのは、事実だから


やっと学校について、靴を履き替えて踊り場に出た時
なんだか気が抜けて、体重を杖にかけた瞬間に、ずる、っと滑った
倒れる!?そう思った瞬間、私は手をかばって。。。

ぐずり、と足の中で音がなったような気がした
そして激しい痛みが間をおかず襲ってきた


「かのんちゃん!?」


はずえ君の声
でも痛みで身体が動かない

「かのんちゃん、痛むんですか!?」

痛いなんてものじゃない
身体中の血が逆流をはじめたかのように、
ザーザーと耳の奥でイヤな音をたてる

「立てませんか?」

はずえ君は、私のからだを起き上がらせる
体勢をかえたことで、また鋭い痛みが背筋を通って、頭に届く
一瞬の目眩、そして、はずえ君の焦りを感じた

「だ...いじょうぶ、だから...」

大丈夫はなずない、それは一番自分よくわかってる
それなのに、こんな時も嘘をつく
心配をさせたくないからとか、同情をひきたいから、とか
そうじゃないの
もう
私は嘘をつくのが、普通になってしまった

どんなちいさなことでも
本心をオモテに出しちゃいけないって。。。

クチからは嘘しかでてこなくなった


「みっともなぁい」
「ホントよねぇ」


あぁ。。。また笑われてる

。。。もういいよ、はずえ君
こんなみっともない私なんか、放っておいて、ね?


「まったくだ、みっともねぇな」


知ってる声


心底、うんざりするような海堂君のつぶやきに、
心の中で最後の。。。
最後の何かが、ぽとり、と落ちた

大きくなる笑い声
それに意識が潰される。。。気が遠くなっていく。。。


ホント、みっともなぁい。。。

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