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よみもの~中等部編
15 ~takeshi

「俺...なんか飲み物欲しくなっちまったな...」
俺は頃合いか、と、声をかける
「あ、ごめんね...お茶、自分でいれてもらえるかな?」
「いいよ、冷たいモンのみたいし、買ってくる
 お前ら、何かいるんなら買ってくるぞ?」
「あ、じゃあ僕も行きます、カノンちゃんも何か飲みますか?
 兄さんと由香先輩は?」
「え?」「あ...」
その俺の魂胆にすぐ気付くハズエ
まったく、鈍い兄貴とは雲泥の差
「私自分で選びたいから、一緒に行く〜」
ユカちゃんだって、するっとのってくる

俺達は病室を出てしばらくしてから、やっと口を開き始めた
「ちょっと、ヘン?」
「だよな?」
俺とユカちゃんは、同時にハズエに顔を向ける
目をぱちぱちして、驚く仕草が、兄貴にそっくりだ
「ハズエ、お前なんか知ってるだろ?」
でも、その後に続く『笑顔』は、マムシの野郎にゃ絶対できない芸当だぜ。。。
「なんですか?」
すっとぼけやがって。。。
俺もいい加減『曲者』なんて言われてるけど、ハズエはそれ以上だ
こんなトボケ方されたら、聞きづれぇだろうが。。。
まったく、兄弟揃って食えねぇヤツらだ

「カノンとお兄さん、ケンカでもした?」
うはっ、ユカちゃん、ズバッとききやがる
「あぁ...」
何でそこで笑う?コイツ...
「ケンカっていうか...
 怪我して混乱してるかのんちゃんに、兄さんがちょっと...」
「ちょっと何だよ?」
「いつもの通り、ですよ」
鋭い視線もそっくり
だが、その視線のまま、くすくすと笑うトコロは、
かなり切れ者という印象を強くする
「ちゃんと落ち着いて話せばすむのに...
 二人して怒鳴り合ってました」
「怒鳴り合った?」
ユカちゃんは、はあぁぁぁああぁ。。。と、大きく溜め息をつく
「まったくアノ二人は、進歩ないなぁ」
「そうなんですか?
 兄さんはともかく、かのんちゃんも?」
「だからっ!はずえクンはカノンに幻影持ち過ぎだってばっ
 ヒステリー起こしたら、すっごいんだから」
「信じられないな...あ、でも確かにすごい剣幕でした」
そういいつつ、ちらりと、うれしそうな顔?を覗かせる

「あ〜らら...こうなると二人とも頑固だからねぇ...」
ヤレヤレ、と頭を振るユカちゃん
俺も同じ気持ちだよ
「でも、大丈夫でしょう?
 今日だって、出掛ける時も普通でしたよ?
 お見舞いの花だって兄さんが選んだんですから」
「えっ!?海堂君がお花を選ぶの!?
 なんか...想像できないんだけど」
いや、ユカちゃん。。。俺も同じ気持ちだが、
そこは笑ってスルーしたほうがいいんじゃねぇか?
しかしハズエは、からからと笑いながら、
逆にユカちゃんのツッコミをスルー
「そうですか?
 兄さん、とっても気に入ってたみたいですよ?あの花」
ユカちゃんは、へー、とか、ほー、とか、
まだ納得できてねぇようだ。。。俺もだけど
「それに、しゃべらないからって言っても...
 ウチでもかのんちゃんの家でも、いつもこんな感じですよ?
 かのんちゃんと兄さんの会話なんて、必要最低限で、
 かのんちゃん、僕とばっかりしゃべってますから」
「はぁ?」
俺は驚いた
家族公認だ、ということは、ユカちゃんからもきいていたし、
ハズエのカノンちゃんへの接し方から見ても、
なんとなしに、そうだろうと感づいてはいたが。。。
ハズエがそう言い切れる程に、海堂とカノンちゃんは、
お互いの家に顔を出してる?
「...あ...」
ハズエは、しまった、という顔をする
「あの...だから、そんなに気にする事はないんじゃ?
 二人だけなら...」
「...だといいが、な?」
まったく、そうだといいんだが。。。
今までだって、そういうことはあったしな。。。
とりあえず、様子をみるしかねぇ、か

「さて、いつまでも病室に戻らねぇわけにもいかねぇな...
 飲み物、何にする?」
ハズエはにっこりわらって、そうですねぇ、と、
自販機の前でブツブツ言ってる
そのハズエにユカちゃんは、またしても、聞きにくい事をズバっと。。。
「ねぇ、はずえクン、そんなにカノンってお家に行ってたりするの?」
流石、俺のユカちゃん!
まったくその図太い神経には、頭が下がるぜ

それにしたって。。。
「いえ...あの...」
ハズエは、もごもごと口を動かすだけで、はっきりしない
「大丈夫よ、私と桃城君だったら」
ユカちゃんの言う通り、俺達がそんなこと言いふらしたりするはずねぇだろ?
それなのに、この警戒の仕方はどうだ?
噂なんて気にしてないふりをしつつも、やっぱり?
しかし。。。
自分の、というよりも、カノンちゃんの。。。心配か?

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あきゅろす。
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