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よみもの~中等部編
11 ~canon

ふわ、と、何か暖かく柔らかいものが、肩に触れる

「そうですね...かのんちゃん、がんばってるんですよね?
 コンクール、出場できますよ
 だから、今ここで、怒鳴り合ったってなんにもなりませんよ?
 お医者さんにもちゃんと相談して、出ましょう?ね?」

何かすがれるものがないと、不安で堪らなかった
いつも、折れそうになる私を、海堂君は優しく抱きしめてくれていた
だからいつでも、海堂君のそばにいたかった
優しく包んでくれる腕に慣れきっていた私

『お前はがんばってるよ』って
そう、言ってくれるあなたを期待していた

そして
何でも良かった
ただ、眼に見える。。。形あるものを欲した

その為には手段を選ばなかった

ちがう

選ぶべき手段を他に持ってなかった

自分を騙し
海堂君を騙し

自分だけじゃなく、海堂君まで追いつめてしまった

私はただ、その腕のぬくもりが欲しかっただけ
つなぎとめていたかっただけ

それなのに



そして自分を追いつめた結果が。。。コレ


海堂君を失ってしまった


つなぎとめるのは大変でも、失うのはあっけない程、簡単なんだ。。。


とまらない涙
声を出すたびに、息を吸うたびに軋む胸の痛み
動かない左足

身体が、バラバラになりそう

誰でも良かった
優しくつつんでくれる人なら

差し伸べられた手に
強くしがみついて

助けを求めた。。。

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あきゅろす。
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