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よみもの~中等部編
10 ~canon

お母さんとお医者さんがやってきて、淡々と説明をされ、
肩や腕を上げ下ろしをさせられ、簡単な問診を受ける

肩の打撲
腕は打撲と擦過傷
幸い、指は無事
肋骨2本にヒビ。。。コルセットはこの為、ね。。。
右足、打撲と擦過傷

左足は、膝関節の脱臼、そして靭帯を損傷したらしい
落ちる時、大きく捻ったかぶつけたか。。。
自分ではおぼえてない
ただ、お医者さんが言うには、
脱臼、そして靭帯損傷といってもラッキーな類だそうで、
何度も手術をしなきゃいけない、とか、
酷い後遺症が残る事もないと言う

説明を聞いた後も、ぼんやりとしていて何か現実味がない

お医者さんが出て行くと、お母さんが大きく溜め息をもらす
「何やってんの...」
ホントだ、私、何やってんだろ?

そして、海堂君とはずえクン、海堂君のお母さんが病室へと入ってきた
心配そうな顔をした二人
そして
蔑むように、私を見下ろす。。。海堂君。。。

そこで思い出す
私!!
こんなとこで、暢気に寝っ転がってる場合じゃない!!!

「コンクールっ!!!」

「コンクール、じゃないわよ...」
「だって!もうすぐ!!
 私帰る!ピアノ練習しなきゃっ!!!」
「無理言わないの」
「指は動くもんっ!弾ける!!帰るっ!!」

「無理...するな、よ...そんなに無理しなくたって」
無理、するな?
「海堂君にはわからないわよっ!
 海堂君には...いつも結果を出してきてる海堂君にはっ!
 私が、どれだけっ...つぅっ...」
胸に刺すような激しい痛みが走った
だけど、それよりも、怒りが収まらない
上がっていく息
胸が痛くて、息がうまく吸えない
「私だって、できるって...
 できるって証明してみせるしかないじゃないっ!!」
誰の為に。。。誰のせいで、こんなに無理しなきゃいけないのっ
心臓が打ち付ける、その拍動に伴う息苦しいほどの痛みに脇を押さえる
「お前...何言って...」
「そうよ!言うのは簡単よ!!!
 でもねっ、私だって、いっぱい我慢して」
「俺だろ!?
 俺のせいだって言えよ!!」
海堂君の顔が怒りに歪んでいく
「お前はいつもそうだ
 そうやって、
 がんばらなきゃいけねぇって!!」「薫、いい加減にしなさいっ!」
そう。。。これが、海堂君の本音
「もうやめろよ、やめてくれっ!!」
「もう沢山よっ!!」「奏音ちゃん!よしなさいっ!!」
そんなの聞かなくたってわかってた
「海堂君にはわからないっ
 私がどれだけ惨めな気持ちになってるか
 我慢してるんかなんて、わからないでしょ!!!」
痛い
身体のあちこちが痛い
「お前だってわかってねぇだろっ!
 俺だって、俺だって息が詰まるんだよっ!!」
やっぱり。。。
私は、あなたにとって『重荷』だって事でしょう?
私、わかってた
それなのにあなたは、いつも我慢してたんでしょう?
我慢しなきゃいけなかったんでしょう?
全部、私のせいだって
早く言ってくれた方が。。。そう言ってくれた方がよかったのに
こんな告げられ方をされなきゃならないなんて。。。

痛い、痛い

何で我慢しなきゃいけないの?
何の為に我慢してるの?
誰の為に?

痛い。。。よ。。。

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あきゅろす。
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