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よみもの~中等部編
11 ~kaoru

「さて、と...晩ご飯のしたくしなきゃ、ね...」
「俺、手伝います」
「あら?いいのに...下で体でも動かしてきたら?」
「いえ、たまにはいいんじゃないんスか?」
「そ?」
そう言ってまた笑い、じゃ、コレ着けて?と、
ピンクでヒラヒラのついたエプロンを渡された
おーーーーい。。。
「俺...に、コレは似合わないと思うんスけど...」
「そぉ〜お?
 奏音ちゃんが、ピンクのフリフリ好きそうだったよ?って、教えてくれたから、
 薫君、こういうの着たいかな、って思ったんだけど...じゃコッチ?」
あるんなら、はじめから普通のエプロン出せよ。。。まったく。。。

それにしたって、何てヤツだよ、こんな事も自分の母親と話すのか?
心の中で悪態ともいえない態度をとりながら、俺は笑ってる
「アレは...かのん..ちゃん、には似合うかもしれないけど、
 俺が着けたらシャレじゃすまないっスよ」
笑って、素直に渡されたエプロンを着け、手伝いをはじめる

「あらぁ...やっぱり男の子ねぇ...そういうの想像しちゃったりするんだ?」
「しないっスよ...なんか、そういうの...カンジねぇし...」
「色気?」
「イヤ、そうじゃなくて...」
「ふぅ〜ん...」
こういう口調、やっぱりかのんとそっくりだ
俺の頭の中で『似た者母娘』という言葉が、
パチンコ屋の照明並みにテカテカと輝いている
「だから...その...なんかオープンすぎるっていうか...」
「あぁ、ナルホド...それで、やる気も萎えちゃう、か...」
「おばさんっ!!!!」
おばさんは、冗談よ〜、と、笑い、俺もソレにあわせて表情を作る

本当は違う
本当は。。。知ってるからこそ、想像できない
かのんを想いながら自分を慰めたあの晩
かのんの苦しむ顔、そして声が頭の隅によぎる度、罪悪感がわいた
あれほど、惨めな気分になった事はなかった

嘘つきは泥棒の始まり
よく言ったものだ、
ウソ吐きの俺は、かのんを。。。奪った

そしてどこまで。。。いつまで俺は、嘘を吐き続けなければならない?

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あきゅろす。
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