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よみもの~中等部編
10 ~kaoru

関東大会への出場も決まった
が、だからといって、テニスばかりしてる訳にもいかない
もうすぐ期末テストがはじまる

テスト前の休みを利用して、というとヘンだが、
やっと、俺とかのんはゆっくりと。。。
人目を気にせずに話ができそうな時間を見つけた
いや、本当はかのんはもっと練習をしたいはずだ
ピアノから離れると不安になる、そういうかのんの気持ちだってわかる

だが、こういうと更に変だが
俺は飢えていた
かのんと過ごす二人きりの時間を渇望していた


土曜日の部活のあと、俺はそのままかのんの家へと向かう
電車に乗る前に、コンビニで買ったおにぎりを二つ頬張った
もう、かのんの家に行く道だっておぼえてしまった

かのんの家に着いたのは2時前
外付けの階段を上る前に微かにピアノの音が聞こえた
レッスン室で練習をしてるのか。。。

「こんにちは」
「薫君いらっしゃい...奏音ちゃん、下でピアノ弾いてるのよ」
おばさんはそう言って、インターフォンへ手を伸ばす
「呼ばなくても...いいです、邪魔したくないし」
「いや〜ん、やさしいカレシでいいわよね〜〜〜」
またおばさんは。。。
「おやつ、食べるでしょ?」
「はい...」
「先にシャワーして着替えてらっしゃいよ?
 洗濯物も出しておいてね?洗うから」
「ハイ」
ホント俺、ずうずうしくねぇか?
でも、そんな事も、おばさんなら許してくれそうで。。。
遠慮してるふりをして、実は素直に従う俺も俺だ

俺は自分で買ってきた3本のスポーツドリンクを、忍者部屋のドリンクバーへ入れ
その中のミネラルウォーターを取り出し、半分程飲んだ
そして、棚からタオルを出し、シャワーを浴びる
勝手知ったる、とはこの事だ

シャワーをすませた俺は、自分の洗濯物とシャワーで使ったタオルを持って、
リビングへ降りた
「洗濯物は...」
こっち、ね、と、おばさんに洗濯機の所へ連れていかれる
「そこカゴに入れておいて?あ、下着もいれちゃっていいわよ?」
「え...」
さすがに。。。それは。。。
「遠慮しない、しないっ
 洗濯してないパンツ、月曜日まで大切に持ってる気?」
そうじゃなくて
えーーーっと。。。と、悩んでいるうちに、おばさんは
洗濯ネットをハイ、と俺に渡した
「コレに入れて...洗濯できたら自分で干しなさい」
あーーーー。。。
俺はおばさんの気遣いに感心した
ずけずけと遠慮がない、けど、わきまえるポイントはちゃんとわきまえる
かのんはおばさんに似たんだな、と、うれしい、というか、なにかホッとする俺


俺はおばさんと、母さんに持たされたケーキと、
おばさんが用意してくれたハムと卵、
野菜のたっぷり挟まったのサンドイッチを食べながら、
洗濯が終わるのを待っている
その間も、また俺はおばさんのオモチャにされているわけなんだが。。。
はじめは普通に学校や、部活、試合の事をしゃべっていたはずなのに、
どんどんと、おばさんのペースにハマり、またソッチの話
まあいいんだけど。。。
母さんと話をするよりも、気が楽というか、
自分でも信じられない程、素直に会話ができる
ん?自分の親じゃないから、か?
そしてそこで、とうとう俺は『白状』させられてしまった
もちろん『許してもらっている、ちゅー』をした、ってだけ、だが。。。
あとで、かのんには、こっそり報告しておこう

それにしても、俺のこの告白に。。。
「うわ!やっぱり!!!」
おばさん、何喜んで。。。
手を叩いて、よくやった、って。。。何だよソレ。。。
「ぁ...の...すみません...」
「やだぁ〜!何あやまってんのよ!
 カレシカノジョなんだし、それくらいはねぇ〜、あったってフツーでしょっ?
 で!?どこで!?いつ!?」
「ぃゃ...ぁの...それは...ちょっと...」
勘弁してくれよ。。。
「うち?それとも、薫君のお家?
 やだ、まさか、学校...とかって言わないわよね?」
そーーーーーークるかっ!?
「あ...あぁああぁあぁあぁぁぁ...」
ごめんなさい、学校です
はじめてちゅーをしたのは、実は一年以上も前で。。。って、言えるかよ!!
「ふぅん、学校...ね」
って!?俺何も言ってないのにっ!!!
「ま、いいけど」
いいのかよ!?!?
「でもねぇ〜え?道ばたやら、どこでもかしこでも、っていうのはヤメてよね?
 みっともないから」
「そんなことするわけねぇだ、ろっ...あっ、あのっ...」
あ、やべぇ。。。つい。。。
「...あの...すみません...あの...しません...」
おばさんは、きゃ〜と、笑いとばす
「さすが、私が見込んだだけの事はある!薫君、えらいっ!!」
なにを見込んだんだよ、なんだよ俺、エラいのか!?
「その調子で、これからもよろしくね〜〜〜〜」
その調子って、どんな調子だよっ!?

流石。。。かのんの母親だけはある
あ、ちがう、逆か。。。この母あって、アノ娘、だ。。。たぶん。。。
それにしても、このノーテンキさは、もはや芸術の域だろう
でも、それもいいな
自分の家とは違う、安心感と開放感
本当に心地がいいと感じるんだ。。。

とうとう白状した俺に満足したのか。。。いや、満足って、へんだよな?
でも、おばさんはそれ以上の追求をする事はなかった
そして話題もまったく別のものに移っていった

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