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よみもの~中等部編
8 ~kaoru

ウワサは俺の耳にまで入るようになっていた

「海堂...カノンちゃん...大丈夫なのか?」

ある日、部活が終わって、コート周りのチェックをしている時、
桃城が、そうつぶやいた
「あぁ...」
俺はそう言うしかない
大丈夫?そんなはずないだろう?
だが俺に何ができる?
俺が何かを言えば。。。
何か行動を起こせば、それはもっとウワサを、
。。。いや更に周囲の『嫉妬心』を煽る事になるのはわかっていた
「ハズエは?」
「葉末は意外としたたかだしな...心配ない」
「ホントだな?お前と違って要領もいいし、な?」
苦笑いをし、軽く握った拳で俺の胸を叩く

俺にできる事といえば。。。そう、かのんへ『大丈夫だ』と、伝え、
『気にするな』と、笑ってみせるだけ
そんな俺に、かのんはただ笑って
俺の望むままに、ふわ、と身を委ねる

だが、最近はそんな小さなふれあいすらもなくなっていた
クラスが違ってしまった今、
コレまで以上に、かのんに接する機会がなくなっていた
丸一日、かのんの姿を見ずに過ごす日も少なくはない

そして地区大会が終わり、都大会が始まり、
その事にばかり、気がいっていた
部長として、青学を関東、そして全国へと導く為に集中する必要があった
ただのいい訳だって、わかっている

かのんだってそれを理解してくれていた
いや、理解してくれている、と、俺は信じるしかなかった
がんばってね、と、ふにゃっと笑い
私もがんばるね、と、小首を傾げる
そんなかのんに俺は、お前もな?、と、
そっと肩を抱き、唇を重ねる
微かに震える肩は、細くて、頼りない
今にも折れてしまいそうで。。。強く抱く事もできない

何故いつも、かのんなんだ。。。どうして、俺じゃない?

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