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よみもの~中等部編
4 ~canon

入学式の翌日、早速、校門の手前で、はずえクンにであった
「かのんちゃん!」
「はずえクン、入学おめでとうございます」
「はい!」
ひとなつっこい笑顔、そして明るい雰囲気に、ほんわかしてしまう

「もしかして、海堂君の弟クン?」
少し前に合流してた由香ちゃんが、はずえクンの顔を覗き込んだ
あーー。。。はずえクンと由香ちゃん、身長ほとんどかわんないや。。。
いや、はずえクンの方が高い。。。かな?
「あ...はい...」
はずえクンは少し目線を落とした
やっぱり、お兄さんの事をもちだされるのはイヤ、だよね。。。

「こちら、西森由香ちゃん、私の一番のお友達なの」
「はじめまして...海堂葉末、です」
俯き加減のはずえクン、だけど、由香ちゃんはずかずかと会話を続ける
「はじめまして、西森由香です...それにしても...葉末君?」
「はい?」
はずえクンは、遠慮がちに顔をあげ、由香ちゃんを見た
「葉末君って、お兄さんが入学してきた時とそっくり!
 だけど、私は葉末君の方がハンサムかなって思うよ?」
さっぱりと言い切る由香ちゃんに、はずえクンは目を丸くして、ふわっと赤くなる
「そ...そんなこと...」
「あ、うん...そうかも」
私も、ちょっとだけ、からかったりして
「かのんちゃんっ!!」
そして、三人で、笑い合った
うん、やっぱり、由香ちゃんすごい!
言われたく無い事、触れられたく無い事でも、
由香ちゃんが言うと、全然イヤミじゃないんだもん

「葉末君はすごく社交的?なのかな??
 でも、海堂君...お兄さんは、すごくおとなし〜い印象だったのよ?」
わぁ。。。由香ちゃん、ズバリ言い当ててるよ〜
「まぁ、うちでもあまりしゃべりませんしね」
ホラ、はずえクンも警戒を解いた!
「ホント、私、はずえクンとおしゃべりする方が多いかな?」
「ですよね?」
校門からずっと、校舎内に入ってからも、私達三人の、おしゃべりは続いた
はずえクンはかわいい
素直で、明るくて。。。ホントに私、無条件に、はずえクンの事が、大好きだ


教室に入って、由香ちゃんはまた私の机にやってくる
まあ、出席番号順だし、窓際、一番後ろだもんね
「カノン、アンタ、公認なの?」
「へ?」
「だから、家族、知ってるの?」
「え?あぁ、うん
 お母さん同士も仲がいいし、お父さん達もゴルフとか行ったりするよ?」
「そうじゃなくて、アンタ達が『そういう関係』だって、知ってんの?」
由香ちゃんは周りを気にして、声のトーンを落とす
「そういうって...」
はっきりと言った事はない
うちも、海堂君のお家でも、私達は『そういう仲』という認識だと思う
それにたぶん、お母さん達は気付いてる
『何にもない』って事はないだろうって。。。
だから、釘を刺された
後悔するような事はするな、って
お母さんにも、そして海堂君のお母さんからも

由香ちゃんは困った顔になって、もっと声を小さくした
「言わないよ、心配しなくても」
「うん...」
「でも...時間のモンダイだと思うけどね」
ハァ、と溜め息をつく由香ちゃん

二人して黙り込む
由香ちゃんにもわかってる
これから起こるであろう事が。。。

沈黙の後、突然、ニッ!と由香ちゃんが笑った
「それにしても、弟クン、ほんっと、海堂君そっくりだね〜
 願わくば、あのまま、育って欲しいわ」
「なんで?」
「だって、お兄さんみたいになったら、コワいじゃない?」
コワい?
あーーーー、確かにっ!!

二人で顔を突き合わせて笑った

笑いながらも
本当は『怖くて』仕方がない

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あきゅろす。
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