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よみもの~中等部編
11 ~canon

春休みに入ってから、テニス部は他校との練習試合や合同練習が続いてる
今日の練習試合はホーム。。。立海大付属中
海堂君も大変よねぇ
今までのように、自分の練習だけしてるわけにもいかない


私のレッスンは11時から

私と優先輩は、今季、5つのコンクールに出場する予定
一つ目はもう目前...
優先輩と、コンクールの事を相談することになっていたので、
先輩のレッスンの終わる時間に合わせて、学校に来た
音楽室の前で私服の女の子が所在なさそうに、立っている
「どうしたの?」

その子は、近藤瑞希ちゃん、という、私の後輩だった
レッスンはとっくに終わったらしいけど、お母さんがお迎えに来るのがお昼になるから
どうしようか、と、困っていたらしい
「中に入って、優先輩のレッスン見学してたらよかったのに」
「いいんですか?」
「私もよく見学してるよ?」
「でも...」
私も初めはこうだった。。。と思う
あれ?最初は。。。優先輩が、私のレッスンの見学をしたい、って言ったんだっけ?
そっか。。。それまでは、挨拶くらいしかしなかったもんね

「私、菊池奏音、4月から3年生」
「ハイっ!知ってます!!とても優秀だって!!!」
顔を、ぶん!とあげて力一杯お返事。。。はは、かわいいっ
「うぅん...優秀なのは、優先輩、今レッスンされてる先輩で、
 私は、そうでもないの」
「でも、ジュニアコンクール、金賞だってききました」
それはそうだけど、金賞にもイロイロあるんですよ〜
「瑞希ちゃんも、コンクール出るんでしょう?」
「私...は...まだ出た事ないです」
あれ?珍しいな。。。
岩崎先生の生徒は小学校高学年になると、コンクールの規模はいろいろだけど、
半ば強制的に、出場するものだと思ってた
「そう?じゃあ、今年はがんばらなきゃね?」
「でも、私、そんなに上手くないし...」
私や優先輩とはタイプの違う子なのかもしれない
恥ずかしがりやさん?かな??
「私も、そんなに上手くないけど、ドレス着るのが楽しいから出ちゃうの♪
 その程度だからね」
そこまで言って、瑞希ちゃんは、何か言いたそうに、口をもごもごする
「...ん?」
「あの...菊池先輩...の、レッスン...」
俯いてしまった。。。
「見学?」
「...はい」
ますます、小さくなって。。。やっぱり恥ずかしがりやサンっぽい
「そんなに上手くないけどいいかな?」
「いい、ん...ですか?」
「どうぞ
 ああ、それとね、私も瑞希ちゃん、って呼ぶから、菊池先輩っていうのはやめて?
 奏音ちゃん、ってよんでくれるとうれしいな〜っ...ね?」
「でも、先輩なのに...」
「うん、なんか『先輩』ってよばれることなくって...
 ヘンな感じがするのよ」
そうか。。。先輩って。。。越前君にしか呼ばれたことない。。。
「じゃあ...カノン先輩...で、いいですか?」
「ンーーー...妥協します」
そう言うと、瑞希ちゃんは、ちょっとだけ緊張を解いて、にぱっ、って笑った
カワイイな〜

私は瑞希ちゃんを連れて、そっと音楽室に入る
一番後ろの席に二人で座って、優先輩のレッスンを見学した
すごい。。。リスト。。。だ、初めて聴く
それでも優先輩の事だから、きっと、ずっと前から譜読みされていたに違いない

優先輩のレッスンの後、先生と私、優先輩とで、コンクールについて話し合う
その間、瑞希ちゃんは、部屋の後ろで、ちょこん、と、座って待っていてくれた
「じゃあ、先生、よろしくお願いします」
「わかりました、しっかりレッスンしましょうね」
「はい...奏音ちゃん、またね」
「はい、お疲れさまでした」

ふわ〜、流石、優先輩。。。
ピアノの上にある先輩の曲目リストを眺めながら、溜め息をつく私。。。
「さて、奏音ちゃん」
「はい?」
溜め息をつく私を笑いながら、先生が意地悪く宣言する
「さっそく後輩のプレッシャーを感じながらレッスンといきましょうか?」
「は〜い」
「瑞希ちゃん、こっちに来て、
 奏音先輩のナナメ後ろからプレッシャーを送ってあげなさいよ?」
「せんせ〜い、意地悪ですよっ」

レッスンは割と上手くいった方だと思う
よかった。。。後輩の前で、いきなりボロボロのレッスンっていうのは、
やっぱりカッコわるいもんねぇ。。。

「それじゃ、奏音ちゃん
 次からは、7月の関西のコンクール用の曲も練習してきてちょうだいね?」
「はい」
「あら?居残り?」
先生は、ピアノの前から動かない私をみて意外そうな顔をする
「え?ああ、あの、瑞希ちゃんのお母さんがいらっしゃるまでは一緒にいようかと...」
「あら〜〜、いきなり、お姉さんなのね?」
「そりゃそうですよ、初めての後輩ですからね!
 先輩としては、ちょっとカッコつけておこうかと」
先生も、瑞希ちゃんも笑ってくれる
本当は。。。海堂君を待ってるんだけど。。。

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