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よみもの~中等部編
9 ~kaoru

朝練が終わって教室に入ると、かのんは西森達と雑談をしている
そして、誰にもわからないくらいの、微笑みを浮かべる
いつも通り
だが
2年生最後。。。今日は終業式だ
もしかしたら、かのんと同じクラスで過ごすのも最後になるかもしれないな、と
少々、感傷的になってしまう
まったく、らしくねぇよな。。。


掃除とホームルームがすみ、
今日の練習試合のことで、竜崎先生と打ち合わせをして荷物をとりに教室に戻ると、
かのんと西森が、また机一杯に食べ物を広げて、楽しそうにしていた
「今日、練習あるのか?」
「うん、1時から」
「そうか...」
「うん」
「あの」「かいど..」
時間が止まった

でもその時を動かしたのは、西森
「海堂君は練習試合、アウェイでしょ?がんばってね」
「あぁ...」
じぃっとかのんの顔をみると、小首を傾げて先を促す
「なに?」
「母さんが電話くれって...」
「何かな?」
「どうせ、お前の事オモチャにしたいんだろ?」
「ナルホド〜、ついに物々交換の日がやってくるのかぁ〜」
くすくすと笑って、また首を傾げる
「俺はかまわないけどな?」
「30分で後悔するから」
「お前もだろ?」
「そんなことないよ?きっと楽しいと思うな〜
 やさしいお母さんに、かわいい弟、ダンディなお父さん
 うん!いいよ、私交換されてもっ♪」
「ばぁ〜か、言ってろよ」
ふにゃふにゃっと笑って、本気で考えてみる?と、俺の顔を覗き込む

「...かのん...」
無理してねぇか?
お前、辛いんじゃねぇのか?
なんとなく、気まずくなりかけた所で、また西森が会話に入る
「海堂部長!練習試合とはいえ、負けたらダメだからねっ!
 青学の誇りをかけて戦って来なさいっ!」
「あ〜〜、桃城君の声が聞こえる〜〜」
そうかのんが言ったか言わないかのタイミングで、桃城が教室に顔を覗かせた
「海堂、早くしねぇと、メシ食うヒマねぇぞ!」
「ホラね〜」
かのんと西森が楽しそうに笑う
「お、ユカちゃんとカノンちゃん、一緒に食べるか?」
「アンタはアッチで海堂君と急いで!食べたら?
 私は、カノンと一緒に、ゆ〜っくり食べるから」
「ちぇ〜〜っ」
「桃城君も頑張ってね、試合」
「サンキューなっ」
「ホレ、行った行った」
「よっしゃ!そんじゃ、一丁暴れてくるか、な!?」
教室を去り際に、かのんは、にこ、と、綺麗な笑顔を向けた
何だよ。。。その表情は、お前らしくない
まるで、あの日『さよなら』って言ったときの顔と似てるようで、
なぜか落ち着かなかった

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