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よみもの~中等部編
7 ~canon

お昼休憩になって、桃城君が海堂君を呼びにきた
朝。。。オーダーがどうの、って言ってた
部長、副部長。。。か。。。
本当に大変なんだね。。。
普段、絶対弱音なんか吐かない海堂君が、怯えていた
プレッシャー。。。私なんかが想像できないくらい、重いものなんだろうね。。。
自分だってこんなに大変なのに。。。
私の事で、海堂君をこれ以上煩わすわけにはいかない
もっとしっかりしなきゃ。。。ダメ。。。

「私、岩崎先生のトコロに行かなきゃいけないんだけど、由香ちゃんお弁当どうする?」
由香ちゃんがお弁当をもって私の席に来る
「時間かかりそう?」
「うぅん、どうかな?」
「先に食べない?」
「その方がいいかな...」
急いで食べて行ったほうが。。。
時間ギリギリで、あわてて食べるよりも。。。いいか。。。

由香ちゃんと二人で、急いでお弁当を食べて、音楽準備室へ出向いた
昨日、お母さんと相談して決めた、出場希望のコンクールと、曲目を報告する
もちろん、レッスンの時でも良かったけど、一日でも早く準備がしたかった
先生の了解を取ることで、自分に発破をかけたかったのもある
先生はリストを確認して、満足そうに頷くと、
これでやってみましょう、と、言ってくださった


「カノン?」
「何?」
「アンタ...と、海堂君...大丈夫なの?」
準備室の前で待っててくれた由香ちゃんが、心配そうに私の顔を覗いた
「由香ちゃん...ごめんね、いっぱい心配かけちゃったね
 私...ね、やめたの」
「は?」
「もう、何言われても、堂々としてようかな、って」

本当は、気になってしょうがない
視線を浴びるのがコワい

「え?」
「昨日ね...海堂君に言われた
 不確かな事だから、みんなおもしろがってウワサするんだ〜
 ...って、桃城君が言ってた、って」
へらへらっと笑ってみせる
「だから、何言われても、気にするの...やめたの...」

嘘ばっかり

「アンタ...」
「なに?」
「昨日何かあったの?」

でも私ね、わかる。。。そう言って、笑ってれば、みんな困らないって
誰も私の心配もせずにすむって。。。
由香ちゃんも桃城君も。。。そして、海堂君も。。。
どんなに自分が辛くても、大好きなみんなが辛いよりはいいから。。。
だから、笑おうって。。。

昨日、沢山泣いた

「何かって?」
「なんかヘン」
「ヘンって...失礼な...
 由香ちゃんこそ、桃城君と何かあったんじゃないの?」

また、こうやって話題をすりかえる

「えぇ!?」
「図星」
「そっ、そんな訳ないじゃんっ、いつも通りよ、いつも通り」
適当な事言ってごまかそうとしただけなのに、
こんなに慌てるなんて、本当に何かあったのかも。。。
「あやしいな〜〜〜」
「アンタこそっ!!」
「いっぱいお話ししただけ...眼の覚める事、いっぱい言われちゃった
 それと、ね、今季はコンクール、いっぱい出るからぼけっとしてられないのよ
 うじうじしてるヒマがあったら、練習しなきゃいけない、って思ったら
 急にしゃん!としちゃった、不思議よね〜〜〜」

そして。。。目を背けて、何もなかった事にする。。。狡い、ね。。。

「カノン、無理してる」
「そりゃね、ちょっと無理するくらいじゃないと」
「その無理じゃない」
「無理、してないよ?
 ただ、私ね...由香ちゃんみたいになれたらいいな、って思う、よ」

何で私なんだろうね?
由香ちゃんのほうが、よっぽど魅力的だよね



残りのお昼時間は、教室に戻らず、だらだらと廊下を歩いて過ごした
「三年...また、一緒のクラスになれるといいね?」
「えぇ〜〜〜、また私、カノンのおもりするのイヤだぁ〜」
笑いながら憎まれ口を叩く由香ちゃん
「由香ちゃんに捨てられたら、私、生きていけない〜〜〜」
由香ちゃんがいなかったら、今頃一人でぽつん、としてたのかもしれないね
由香ちゃんがいてくれたから、一緒に。。。泣いてくれたから
だから、私、ココにいるのかもしれないね
「由香ちゃん...ありがと、ね」
「なによ、テレるじゃない...って!言うと思う!?
 今頃や〜っと、私のありがたみに気付くって、遅過ぎっ」
ホント、私、いろんな事に気付くの、遅過ぎるね
だから、みんなに迷惑をかけてきたんだね

ごめんね、由香ちゃん

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あきゅろす。
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