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よみもの~中等部編
3 ~kaoru

ピ...

小さな機械音で目が覚めた
ここは。。。そうか、かのんの家だ
枕元に置いていたケイタイで時間を確かめる
5時、か。。。

さっきの機械音はエアコンのスイッチが入った音だった
朝起きたとき寒くない様にと、かのんがタイマーをセットしていてくれたんだろう
10分程布団の中で身体をのばし、頭と身体を覚醒させる
走りに行きたい。。。
でも、鍵を閉めずにでかけるのも気が引ける

カチャ、と、ドアの開く音がした
かのんの部屋?
ぺた、ぺた、と音がしたので、俺は襖をあけてみると
かのんの青白い顔がそこにあった

「かのん?」
俺が声をかけると、びくっ!と肩をふるわせてこっちを向く
「あ...おはよう...早いね?」
ふにゃっと笑う
「お前も、早いな?」
「うん」
「俺、走ってきたいんだけど...鍵...」
「元気よねぇ、海堂君は...
 いいよ、鍵は開けたままで
 遅くても6時15分頃までには帰ってきてね?
 6時半にはご飯食べて、7時には家でないと、遅刻しちゃうから」
「うん」
顔色の悪さが気になったが、普通に接してくれるかのんに安心した

昨日と同じコースで30分程走り、車庫でストレッチをしてから、家に戻った
「ただいま戻りました」
かのんはおばさんといっしょに、キッチンで楽しそうにしている
「あ、お帰り〜、早くシャワーして着替えて、ご飯食べよう!
 昨日の洗濯物、たたんでお部屋においてるから」
「すまねぇ」
「それと、制服のシャツ、アイロンかけておいたから...ありがたく着なさい」
そう言ってまた笑う
「ありがたく...って...お前がかけたのか?」
「うん、ありがた〜く、着てね?」

部屋にはアイロンのかかったシャツと、きれいに畳んだジャージが揃えてあった
へぇ。。。綺麗にアイロンがかかってる
アイツ、割とこういうの得意とか?


簡単にシャワーをすませ、制服に着替えて下に降りると、
かのんはふんふん♪と、鼻歌を歌いながら弁当を包んでいた
「海堂君のお弁当箱、おかずの詰めがいがあって楽しい♪」
「薫君、おかずを作ったのは私だから〜
 味は穂摘ママには敵わないけど、たまにはいいわよね〜」
「どうやら、歪んだ愛情がつまってるらしいで〜す」
「それをお弁当に詰めてるのは、奏音ちゃんで〜す」
朝から漫才してる。。。
「さ、朝ご飯にしましょうね」

朝食は純和風
ご飯にあさりのみそ汁、卵焼きに、銀ダラの西京焼
小鉢は切り干し大根、小松菜の煮浸し、ひじきの煮物、キュウリの酢の物。。。香の物
またえらく品数の多い朝食だな。。。
「海堂君、納豆食べる?」
納豆をぐるぐるとかき混ぜながら、かのんが笑う
「納豆」
「うん...食べる」
はい、と、混ぜ終わった納豆を俺に押し付けて、自分はまた別の納豆をかき混ぜる
もう食べたい、というよりも、かき混ぜるのが楽しいみたいだ
「おじさん...」
「あぁ...まだ寝てると思う
 仕事から帰ったら、だいたいそうだから、ごめんね?」
納豆の糸と格闘しながら、ふにゃふにゃ笑う
「なんで?」
「だって、海堂君、気にするもん」
「してねぇよ」

朝からごはんもおかわりして...ベルトを緩めた事はナイショにしておこう
フルーツまで食べ、食後のお茶もゆっくりと飲んだのに、
それでも、時間に少し余裕があった
「奏音ちゃんも、毎日これくらい、余裕もって起きてくれればいいのにねぇ」
「おかーさんっ、ソレ言っちゃダメっ!」
なんだ、そうか。。。やっぱりな、と笑いが出る
「これ以上お母さんに何か言われないうちに、海堂君、学校いこ?」

ふたりで、行ってきますと、挨拶をして
おばさんに、お世話になりました、と、お礼を言う
「またいつでも来てねー
 ウチの子になってもいいからねー」
オイオイ...
「いってらっしゃ〜い♪」
朝からハイテンションのおばさんに送られて
ひんやりとした空気の中を二人で歩く

駅に向かう途中で、地元の中学校へ登校する生徒達と何人かすれちがった
朝練があるんだろう。。。
テニスラケットらしきものをもっている生徒もいるが、
俺達の事を気にするヤツらなんて一人もいなかった

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