よみもの~中等部編
1 ~kaoru
俺はただ、かのんを抱きしめ
一緒に泣いた
どれだけ辛いおもいをしてきたんだろう
どれだけ傷ついて、一人で泣いてきたんだろう
どうして、俺は気付いてやれなかったんだろう
今だって...俺にはわからない
何故、かのんが泣いているのか...
そのうち、カノンは泣き疲れたのか、そのまま眠ってしまった
涙でぺたぺたになった頬に張り付いた髪をそっと梳いてやる
寝顔をみたのは3度目
いつもぽかん、とした寝顔で俺を笑わせたものだ
でも今日は、泣き顔のまま、眼の端に涙が浮かんでいる
指先でそっと拭ってやると、くしゃっとまた顔を歪めて、涙が滲んできた
俺はかのんをベッドに寝かせ
部屋の片付けをし、おやすみと、かのんの泣き顔に口づけをして部屋を離れた
エアコンはタイマーがセットしてあったらしい
だが、まだ空気はほんのりと暖かい
布団に手を入れてみると電気敷毛布は最大になって、少し暑いくらいだ
おばさんの用意してくれたパジャマに着替え、布団に潜り込むと
すぐに眠気が襲ってきた
遠くなる意識の中で、かのんの震える肩の感触だけが、いつまでも残っている
朝起きたら、また笑ってくれるんだろうか?
笑ってくれると、いいな...
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