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よみもの~中等部編
14 ~canon

もう4時も過ぎると、売り切れてたいした種類は残ってない
海堂君も私も、フルーツののったおやつにしかならないような、
とても、お腹にたまるとは思えないような小さなデニッシュを選んだ
海堂君はイチゴ、私はオレンジ

小さな丸テーブルに横並びに座ると、丁度90度
意識して顔を向けないと、海堂君の顔は見えない
ちらちらと眼の端に移るのは、イチゴののったデニッシュを齧る海堂君の口元
「お前、イチゴの方が良かったか?」
「え?」
思いっきり顔を上げてしまった。。。
うわ。。。ちょっと、コレは。。。気まずいを通り越して、ハズカシイ
「ちらちらと俺が食べるの見てるから、お前食べたかったんじゃないかって」
「やだっ、私そんな物欲しそうにしてた?」
「うん、してた...
 食べ物の恨みは恐ろしいって言うからな
 特にお前の場合はそうだろ?
 だから、気になっちまうだろうが」
「もぅっ、私ってホント、どんな人間よ?
 それでも...」
言葉に詰まった。。。
それでも。。。一緒にいてくれる。。。
そしてそのせいで、海堂君が傷つく
「そうだな...
 よく食うし、ボケてるくせに、計算高い所があるし...英語は赤点ギリギリで」
「それは私の人格とは別問題っ」
「いつもはずかずかと遠慮のないくせに、ヘンな所でビビる
 その上、意地っ張りで、俺の言う事なんかひとっつも聞きゃしねぇ...」
テーブルの上に置かれた海堂君の手に力が入る
そして一層低い声で言う
「俺がどれだけお前が好きだ、って言っても、お前は信じてくれねぇ
 ...俺はそんなに頼りないか?」
ちがう。。。逆なのよ。。。
海堂君は私には凄すぎて、私が海堂君のレベルまでたどり着けない
信じてないんじゃない
信じれば信じるだけ、自分が惨めになっていく
だから、怖い

「もう...そろそろ帰ろうか?
 海堂君、お家に帰るのが遅くなるよ?」
そうやって、はぐらかす
ごまかす
何一つ、進歩しない私
海堂君の優しささえも、素直に受け入れられない
受け入れてしまったら、もう。。。

もういいよ、ね。。。?

自分に問いかける

  もう、いいよ。。。ね?

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あきゅろす。
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