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よみもの~中等部編
13 ~canon

改札を通り、立ち止まる
ココから先の道がわからない
「...何で?」
「うん...お前ん家の近くのパン屋...
 旨かったから食べようと思って、お前と」
本当はそんなんじゃないんでしょう?
私のせいで。。。こんなトコまで。。。
「実は、昼も、ほとんど食べてねぇし、すっげぇ、ハラへっててな...
 何か食いてぇ、って思ったら
 真っ先にあのパン屋が浮かんで、気がついたら電車に乗ってた」
「嘘つき」
ねぇ。。。海堂君。。。
「お前もだろ?」
「海堂君の...嘘つきっ」
「でも、お前...ハラへってねぇか?
 お前もほとんど食ってなかっただろ?」
もう、いいよ?
私のせいで、海堂君。。。イヤな事ばっかりでしょう?
「う...ん、私も、お腹空いた、かな?」
海堂君の前でこれ以上、泣きたくないのに
だって、泣いたら、また海堂君、困る。。。
だから、がんばって、笑って。。。笑いたいのに。。。
それでも、ぽろっと、一粒だけ涙が落ちた
その涙を指先ですくって、何もなかったように振る舞う海堂君
「あのパン屋、連れてってくれるか?」
「...うん」

海堂君のその優しさが、私の心を萎れさせるの。。。

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あきゅろす。
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