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よみもの~中等部編
11 ~kaoru

乗り換えの駅につき、俺は見失わない様、
だが、気付かれないように、かのんの姿を追った

乗り換えをした車両には、青学の生徒は乗っていないようだった
かのんは二人掛の横並びの席に身を沈め、
ケイタイをとりだし、俯いてまた何か操作している
俺はゆっくり、かのんへと近づいた

俺が目の前に立ってもかのんは顔を上げようとしなかった
膝の上にバッグとケイタイをのせ、耳にはイヤフォン
ピアノの曲でも聴いているのだろうか、たまに、指がぱたぱた、と動く
しかしその姿は周りすべてから、孤立。。。
周りいっさいのものを拒絶しているかのようだ
俺は声をかけるべきか迷った
しかしいつまでもこうしていても、何も進展しない

そんな時不意に、かのんは顔を上げ、目が合った
なにか信じられないものを見るような、そんな目だった
唇がかすかに震え、大きく開いた瞳が、涙でゆらゆらと揺れる
「よぉ...」
イヤフォンを片側だけはずし、海堂君、と、かすれた声を漏らした

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あきゅろす。
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