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よみもの~中等部編
8 ~kaoru

俺は何でこんな所にいる?
どうやって教室まで戻ってきた?
なんだよ、俺、ちゃんと座って授業を受けてるじゃないか
ノートだってとってる
何だ?この意味をなさない記号の羅列は?

「オイ、海堂〜」
桃城の声が響く
。。。わざわざ目立ちにこなくてもいいだろ?
「この後、不動峰のヤツらと打つの、覚えてっか?
 さっき言い忘れちまってよ」
「...あぁ...」
「それでな、俺、掃除当番で...........」
何だっけ?
俺、そんなのよりも、しなきゃいけない事があるんじゃないのか?
「......じゃ、そう言う事だから、後でな?」
「え?あ...あぁ...」

6時間目がはじまってからは、さっきとは逆に、
自分が神経質になっているのがわかる
些細な事が、気になって仕方がない

こんな事は考えたく無かった
それでも、頭に浮かんだ

  俺がかのんを好きなのがいけないのか

そうだ。。。
よく考えろ
いつもかのんを傷つけ、泣かせる原因は何だ?
俺じゃないのか?
初めの嫌がらせの原因は何だった?
あの時、俺はまだ自分の気持ちに気付いてなかったにしても
俺がハッキリとした態度に出ていれば、
ヤツらに変な誤解をされなかったんじゃないのか?

そもそも、いつからだ?
俺は。。。いつからかのんのことを意識するようになった?
そして、自分の気持ちをごまかし、気付かない振りをして

それだけじゃない
嫌がらせを受けていたのを知っていたくせに
見て見ぬ振りをした
そのくせ、不二先輩に嫉妬した
そして、勝手に嫉妬して、かのんを傷つけるような事を言った
かのんは悪く無いのに
俺のせいで嫌がらせを受けて
それでも
俺のせいにしなかった
俺を責めたりしなかった

かのんは、はじめからわかっていたんだ
俺といる事で、自分がどれだけ傷つくかということを
だから、いつも何かに怯えて不安そうな顔をしていた

よく考えてみろよ
かのんは。。。かのんはどんなヤツだった?
いつも笑って、誰にでも遠慮がなくて
先輩達にだって、緊張しながらも、普通に接していたじゃないか
人目なんか気にするようなヤツじゃなかった
明るくて、何も悩みがないような
何でもポジティブにとらえるヤツじゃなかったか?
それなのに、いつからだ?
いつからかのんは、あんなふうになっちまったんだ?
遠慮がちに、まわりの顔色を伺って、
不安を隠そうと、無理に笑ってみせる
入学してくる葉末の事だって心配していた。。。
あれだって『ウワサ』や『人目』が、
どれだけ、人を傷つけるのかを知ってるからじゃないのか?
西森だって言ってたじゃないか
かのんはいつも他人の目を気にして、ビクビクと怯えていた

あの日
かのんは、全て心の中を吐き出してくれたものだと
そう信じていた
バカだ俺
そんなはずはないだろう?
俺と一緒にいたいからがんばる?
引け目を感じなくてもいいように?
それだけで、あんなに怯えるはずはない
アイツは強くなりたいと言った
当たり前だ
俺と一緒にいる事で好奇の目にさらされ、そして、嫌がらせを受ける
かのんは何も悪く無くても

俺はかのんの心を傷つけ、
身体さえも、もっともらしい理由を付けて、奪い傷つけた
それでも、俺を好きだと言ってくれるかのんに甘えていた?
ちがう、好きだと言ってくれるかのんに、
好きだと言う気持ちにあぐらをかいて

。。。今だって傷つけ続けている

全て
俺のせいじゃないか。。。

俺は。。。どうすればいいんだよ。。。

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