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よみもの~中等部編
8 ~canon

お弁当を少しだけ食べて
由香ちゃんと教室に戻った
視線を感じる
早苗ちゃんがわざとらしいくらいに、明るく話しかける
曖昧に笑って、あとは、由香ちゃんが会話をつなげてくれる
それをいい事に、会話の輪から逃げる
こんなときも狡い私

5時間目 英語

授業も学年末で、さして重要な事は何もしない
それだけに、集中する事ができない
それでも、すぐそこにいる海堂君の背中を見る事もできない
顔を上げていても、目線は常に下
ノートを取るフリ
教科書を読むフリ
集中しているフリ

10分の休憩
桃城君の声がすぐ近くでする
でも、下を向いて
気付かないフリ
次の授業の準備をするフリ
会話を聞きたく無いから
神経をキリキリと締め上げて
ピアノの。。。初見の時のように
集中すれば、周りの音が聞こえなくなるはず
それなのに
桃城君の明るい声が、嫌でも聞こえてくる
それなのに
言葉の意味が分からない
言葉を理解できない
10分がこんなに長いなんて知らなかった

6時間目 数学

5時間目と一緒
またノートと教科書に集中するフリ
「菊池さん」
え。。。何?私?当てられた?
「菊池さん?」
私なにしてるの?
誰の声?
私?あれ?。。。
カツカツ。。。チョークが黒板に当たる音が響く
黒板の前?
私、どうやってここに来たの?
私、ちゃんと立ってる?
ちゃんと質問に答えてる?
自分の声ですら、遠くに聞こえる。。。

なに?コレ。。。

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