[携帯モード] [URL送信]

よみもの~中等部編
5 ~canon

朝から。。。気分が悪かった
人目が気になった
只のおしゃべりも、私の事、言ってるんじゃないかって
ううん、本当にそうかもしれない
なんでもない事にも、びくびくする
みっともないほど、過敏になってる
教室移動のときも
2時間目と3時間目の間の長い休憩も
ずっと人に見られているような気がしてた
消えてしまいたい
そんな心境。。。

「やあ」

不二先輩の涼やかな声も
今の私には、氷のような冷たさ
身を切られるような視線をいくつも感じる

逃げたい。。。

ここから。。。消えてしまいたい

「カノンちゃん、誰と行くか決めてくれたかにゃっ?
 あ、薫ちゃんは証人だからね、ここにいてよねっ」
「うん...やっぱり本人の意思を尊重しないとね?」

海堂君だけでも。。。逃げて。。。

「あのっ!」

それなのに。。。

「ん?海堂、何?」

なにしてるの!はやくどこかへ行って!
これ以上、視線を集めないうちに!!

「俺は認めねぇっ!!!」
「どう言う事かな?」
「コイツを貸すとか借りるとか、そういうのは認めねぇ...っス...あの...
 コイツはモノじゃねぇ...だから...
 ...そりゃ、コイツが先輩と一緒に行きたいなら
 俺の許可とか、そういうのはいらねぇっスよ...」

こんな事、言っちゃって。。。
海堂君、自分で立場悪くしてる。。。ダメだよ。。。そんなの。。。

「ねえ、奏音ちゃん?
 もしかして、僕達のコト、迷惑なのかな?」
「...いいえ...」
言いたい事はたくさんある
でも、何一つ言えない
だって。。。
何を言っても、周りがその『言葉』を、素直にうけいれてくれないもの。。。
何を言ったって、いつも悪者になるのは私
「あのさ、もしかして」
「不二先輩...やめてください
 もう、いいでしょう?
 先輩達、自分でもわかってるでしょう?どれだけ女の子に人気があるか
 それこそ、先輩と一緒にいたいってっコは、たくさんいるんです
 そのコ達を誘ったらいいでしょ?
 それなのに、ファンのコ達に見向きもせずに、
 こうやって先輩達がカノンばっかりをかまうから、ヘンな嫉妬を買うんですよっ!
 カノンはいっつも周りの目に怯えてるんです!」
 知ってるんでしょ!去年の事!!
 どんだけカノンが辛かったのか、わかってるのっ!?」

こんなの。。。由香ちゃんまで、酷く言われる
私のせいで。。。海堂君も、由香ちゃんも。。。

「...あの...」
私がここで、何かしら決断をすれば、非難されるのは私だけ。。。でも。。。
「うん、誰と行くか決めてくれた?」
「やはり、先着順、ということで、俺でいいかな?」
「あの...」
でも。。。また、あんなおもいをするのは。。。イヤ。。。
「乾っ、ちょっと待って!
 俺だって、カノンちゃん連れて行きたいもんねっ!!
 勝手に決めないでくれるぅ?」
「いや、英二...悪いが、俺の方が先に申し込んだんだ
 だから、俺が」
「待ってください、俺は、嫌っスよ」
ダメ!
海堂君、何も言わないで!!
「いやいや、海堂、別にとって食おうとか、何かしようというわけじゃないし」
「何かされてたまるかっ!!」
「だから、それはないってば...海堂、落ち着け」
「そーだよ、薫ちゃんっ、落ち着いて〜〜〜っ」
海堂君。。。お願い
そんなコト言うの、やめてよ?
自分が辛くなるよ?
いろんな事言われるよ?
海堂君は私とはちがうんだよ?
そんなコト、言われていい人じゃないんだよ?
「アンタら、コイツをなんだと思ってんだよっ!」
「自分らがよけりゃ、コイツの気持ちはどうでもいいってのか!!!!!」
「だから、落ち着けって...」
「うるせぇっ!!
 かのん、来い!コイツらにつきあってやるこたぁねぇっ!!!」

海堂君は乱暴に私の腕を掴み、教室から引っ張り出した
「海堂君...ね...お願い...手、放して?」
私の声は海堂君に届かない
みんながこっちを向いてる
何か言ってる

あの海堂が

あの海堂が

あの海堂が

「オイ、ちょっ!?海堂?」
桃城君お願い、海堂君を止めて。。。

『あの海堂が』って。。。
みんなが振り向く

視線が痛い

[*前へ][次へ#]

7/91ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!