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よみもの~中等部編
1 ~canon

「オイ、帰るぞ」

ホームルーム後、海堂君が私の席までやって来て、
ボソっ、と、一言、ぶっきらぼうにつぶやく
たったそれだけ
その上『つぶやいた』だけで、
海堂君のまわり1メートルくらいにしか聞こえないくらいの声なのに、
教室中の視線が注がれた。。。ような気がした
「あ、うん...じゃ、由香ちゃん、早苗ちゃん、また月曜日ね」
「え、ああ、うんじゃね、カノン」
「カノンちゃん、ばいばい...」
私は、えへ、えへへぇ。。。と、力なく笑うしかなす術がございません
あうぅ。。。なんでこんなに居心地悪いのっ

学年末試験最終日
本来なら部活がある所だけど、今日は『全校生徒は直ちに下校せよ!』なのですよ。。。
ということで、私は海堂君のお家へ直行する
今日は海堂君のお家で、はずえクンの合格おめでとう会
例によって、泊まりがけ
主役は『はずえクン』だけど、
この場合、大人達は心ゆくまで、飲み明かしたいだけってヤツだ
まあいいんだけど

それにしても。。。
なんかすごく視線が。。。
教室の中でもそうだったけど、教室から校門まで、
学校から駅までの道。。。今だって
どこにいても、どうにも注目を浴びているようで。。。
「海堂君って、やっぱりどこにいても、なにやってても目立つよねぇ...」
まあ、仕方ないか。。。『あの海堂』だもんねぇ。。。
「何言ってんだ、お前?」
「自覚ないんだ?」
ちなみに今日の場合は。。。『あの海堂』が、女子と下校してる、って目だね、ハァ
「知るかよ、そんなの」
唇を尖らせて、プイっと視線をはずす

それにしたって、いままで何度か一緒に駅まで歩いた事はあるけど
それだって、こんなに一斉に生徒が帰宅する時間じゃなかったから。。。
ホント、集まる視線もハンパじゃない
今ならわかる、海堂君が注目を浴びるのを嫌う訳
ゴメンね、セレブの宿命だ〜、なんて言っちゃって
大きく溜め息をついた私に気付いた海堂君が振り向いた
「どうした?」
「海堂君、実はすっごくカッコいいって知ってる?」
「はぁ?」
くるっと振り返り際に、バカかお前、と、ぼそっとつぶやく
はぁ、すみません、バカで。。。

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